ギター


ロシア出身アメリカ在住の天才的ギタリスト、グリーシャ。
サビーカス、モントーヤなど伝説的なフラメンコの巨匠たちの名曲を現代によみがえらせる達人だ。
確かなテクニックと豊かな表現力に裏打ちされた完璧な再現能力。
更に、独自の感性で曲に独自の解釈を加えた演奏は圧巻だ。

4月23日、ギタリストの名手ニーニョ・ミゲルが亡くなった。

ニーニョ・ミゲル......。
往年のギターファンなら、彼の名を知らぬ者はいないだろう。
超絶テクニックと黒い、ヒターノの音色。
一時代を席巻した名ギタリストだった。
トマティートの叔父にあたる。

だが、彼の栄光は長くは続かなかった。
フラメンコシーンからも長らく消えていた。

ドラッグにむしばまれ、ウェルバの町の流しに身を落としたミゲルの変わり果てた姿をyou tubeで見つけたと、
西光氏(「ミカニータとマッキーのカフェカンタンテ」の制作者)が教えてくれたのは、2年ほど前のことだった。

ほどなく、そんなミゲルのドキュメンタリーが制作され、
アクースティカの新着DVDで紹介したのは、
わずか1カ月前のことだった。

この映像は、70年代ミゲル全盛時代の演奏だ。

ディエゴ・デ・モロン、またの名をディエギート。
名カンタオール、ホセレ-ロ翁の息子として生まれ
モロン派ギターの祖ディエゴ・デ・ガストールを伯父に持つ。

既にギターは、彼の身体の一部だ。
自分自身がコンパスそのものになって
全身全霊で音魂(おとだま)が放たれる。

絶妙の間合い、
無垢な音色
フラメンコギターの繊細さと激しさを
自身の内に抱え込んで
彼のギターは、泣き、叫び、唸る。

あらゆる人間の記憶が、彼の中で交錯しているかのように
深い闇の奥に一筋の光明がきらめく。

モライートが、ヘレスの町に帰って来た。

4月4日
彼が住んでいたサンティアゴの町のバレーラ通りが、
モライ―ト・チーコ通りにその名を変えた。