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ヘレスの土地の匂いをその身にまとったブレリアの名手
ディエゴ・デ・ラ・マルガラが、9月に来日し各地でクルシージョを行う。

ディエゴといえば、
カルロス・サウラの映画「フラメンコ」のオープニングで
パケーラの度肝を抜くカンテに誘(いざな)われて、ブレリアを踊ったあのシーンを
心に焼き付けている人も多いことだろう。

「私の歌を本当に深い部分で共鳴して
ピタリと踊りで表現してくれる踊り手がこの世に一人だけ存在する。
ヘレス・サンティアゴのディエゴ・デ・ラ・マルガラだ」
とは、レブリーハの至宝イネス・バカンの言葉だ。

「ヘレスというこの土地に根付く生活の悲喜交々のごった煮を
"アルテ"に昇華した彼のバイレには、
フラメンコのもつ本質的な魅力がふんだんに隠されているように思う」
こちらは、今回の来日をプロデユースした
ヘレス在住の歌い手小里彩さんの言。

2013年、ラ・ウニオンのカンテ・デ・ラス・ミナスのコンクールの器楽(フラメンコギター以外)部門で優勝した、ペペ・バオの決勝でのブレリア(決勝ではこの他にタランタを演奏)。

数々のヒット曲を生んできたドランテスのピアノ。
一度聴いたら忘れない美しく鮮烈なメロディの
根底に流れているのは、揺るぎないフラメンコだ。

そんな、音楽的洗練の中に宿る彼のルーツを、
「フラメンコ・ウォーカー」の坂倉まきこさんは、次のように解説している。

「~最も伝統的なカンテを歌うことで知られたマリア・ラ・ペラタ(歌手)の孫、~父はギタリストのペドロ・ペーニャ、兄のペドロ・マリア・ペーニャは、叔父であるカンタオール、フアン・ペーニャ"エル・レブリハーノ"のギタリストも務めています。~ウトレラという村のカンタオール、ペラテ・デ・ウトレラは祖母の兄で、有名なフェルナンダとベルナルダのウトレラ姉妹ら多くのアーティストが親戚筋にあたるカンテの名門ファミリーの一員です」


超絶テクとヘレスのアイレが一つになったホアキン・グリロのバイレ。
自在なコンパス。
少し崩れた脱力のフォルム。
制御とアナーキーが混在するグリロの身体。

ホセ・バレンシアの歌は熱い。
その身体からコンパスが溢れ、
彼の心は既に踊っている。

歌とサパテアードといういわば禁じ手に
挑んだ二人の至極のセッション。

すさまじい爆発力
圧倒的な存在感
孤高のオリジナリティー
カナーレスの中で狂気と生命讃歌が交錯する。

やがてそのバイレは、
フラメンコの魂そのもの
コンパスそのもの
音楽そのものとなって
巨大なうねりを創出する。

ヒターノがピアノを弾くとこうなる!
ディエゴ・アマドールのピアノは、そう語る。

怒涛のごとく渦巻くコンパス
粒だった一音一音の確かな質感
フラメンコ・ギターの息遣いをそのまま再現したかのような音の流れ、勢い――。

彼が奏でるのはフラメンコの洗練ではない。
フラメンコそのものだ。
プーロの血が
ピアノという器を得て、奇跡の音となった。


アフリカ出身の難民が、スペインで、同じくマイノリティのヒターノと共に暮らし、音楽の道を志す。こんな民族や国籍を超えた、ユニバーサルなバックボーンが、"ニュー・アフロ・スパニッシュ"を代表する、ブイカの奥深い魅力につながっているのは間違いない。

~中谷伸一「PURO DRUNKER」より~

YOUTUBEで検索すると、ブイカの映像がたくさん掲載されている。
中でもこれは、最悪の画質、音だった。
だが、シティオ読者の皆さんには、まずこの映像をお見せしたかった。
ニュー・アフロ・スパニッシュの歌姫ブイカの
バックボーンがフラメンコにあることを、ストレートに感じ取れるからだ。
アフリカ系スペイン人、ヒターノ地区に育ったブイカ。
こんなプーロもあるのだ。