第1回 福久龍哉さんいいフラメンコを聴くと、何不足なく満たされてしまいます

フラメンコのコアな場所では、必ずと言っていいほどお見かけする福久龍哉さん。4月1日に行われた東京フラメンコ倶楽部主宰の月例会では、ご自身のレコードコレクションを用いてナビゲーターを務められるほどのコレクターです。フラメンコギターを三澤勝弘氏に10年近く師事したこともあり、現在ではエンリケ坂井さんのカンテ教室に通われています。お部屋は数えきれないほどのCD,LPなどであふれんばかりとか。3月のとある雨の土曜日。数あるディスクの中から、福久さんのお気に入りのディスク20枚を持ってきていただき、お話を伺いました。

若い頃からジャズ、ロック、ラテンなど様々な音楽を聴いてきたという福久さん。フラメンコを聴き始めたのは今から20年あまり前のこと。

 

福久さんのフラメンコCDコレクション

「中古レコード屋さんでたまたま流れていたジプシーキングスに衝撃を受けたんです。すぐに買って聴いたのが、フラメンコを知るきっかけでした。それが良かったのでジプシーキングスと同じコーナーにあったマニタス・デ・プラタを次に聴いたんです。ジャケットに惹かれて。その解説を書かれていたのが濱田滋郎先生で、『スペインのフラメンコ、ギタリストとは違う』と書いてあった。じゃあ、スペインのフラメンコってどんなんだろうと、探して、最初にみつけたのが、ラファエル・ロメーロの東京公演のライブを収録したCDでした。。ロメーロを聴いて、フラメンコっていいものだと、初めてフラメンコというものを意識しました。特に伴奏者のペリーコ・デル・ルナール2世のギターに衝撃を受けました」

 

 それまでもさまざまな音楽に親しんできた福久さんだったが、フラメンコには自分にドンピシャでフィットする何かを感じたという。

 

それからまずは、ロメーロやペリーコ2世のCDをいろいろ聴いていき、フラメンコの世界にのめり込んでいった。それにしても、今では超渋路線のコアなカンテを愛聴し、古くからのフラメンコが主なコレクションであるする福久さんのフラメンコの入口がジプシーキングスだったとは!

 

数あるディスクの中から、何を聴くのか、その選択はなかなか難しいものだ。特にフラメンコの入口に立っている人にとって、最初の敷居は思いのほか高い。福久さんはどんなふうに聴いていったのだろう?

 

「濱田先生のライナ―ノートや『アーティスト列伝』、『フラメンコの歴史』などを読んで、それを手がかりに、手当たり次第という感じで聞いていきました。何を聴いたらいいのかわからない最初の頃は、色々な人を収録したアンソロジー的なもの聴くといいと思います。その中から好きなのを見つけて、その人のCDを聴いてみるんです。ペリーコのアンソロジーなんかお勧めです。ぼくはあれで、フラメンコの世界が広がりました。あと、知らない歌い手の時は、ギタリストで判断することも多いです。この人の伴奏だったら間違いないだろうってね()

 

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「フラメンコを理解する近道があるとしたら、古いフラメンコを聴くことではないかと思います。新しいものは、ジャズとかポップスとか他ジャンルの音楽の影響を受けているので聴きやすいのですが、その奥にあるものがなんなのかわかりづらいですから。フラメンコならではの味わいは古い物の方が分かりやすいと思います。外国のものだし普段聴く機会はほとんどないから、最初の頃は、えっ何これ?って思うことがよくあると思います。でもそのえ?と思ったことこそがフラメンコだったりするんですよね」

 

「フラメンコってシンプルでしょう。特に伝統的な古いものは。でも、シンプルだからこそ辿りつける境地というか、表現される極みがあるのではないでしょうか。その極みの凄さが、フラメンコは半端じゃないんです。歌とギターだけで、ここまで表現できちゃうのか、と。いいフラメンコを聴いていると、何の不足もなく満たされてしまいます」

 

一言一言、言葉を選びながら、フラメンコの魅力を語る福久さん。

近々発売されるエンリケ・坂井さんのコレクションから復刻したCDシリーズ「グラン・クロニカ・デル・カンテ」のVol.11では、執筆者の一人としてライナ―製作にも参加している。アフィシオナードとしての活動は、ますます深く潜行している模様。

                                 文・西脇美絵子
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