ナハーロ芸術監督の手腕が光る充実のプログラム!|注目のイベント・特集

ナハーロ芸術監督の手腕が光る充実のプログラム!スペイン国立バレエ団この秋来日!          文 濱田吾愛

スペイン=フラメンコ? ちょっと待った!

アレント (C)Maria-Alperi
アレント/foto(c)Maria-Alperi
スペインの踊り=フラメンコ、というイメージは、いまだ根強い。 フラメンコがスペインを代表する踊りのひとつなのは確かだ。 けれど、それだけでは勿体ない。 古来、スペインを擁するイベリア半島は踊りの宝庫。数々の舞踊が、民衆の間で、やがて宮廷や劇場で、クラシコ・エスパニョール(スペイン古典舞踊)として定着していった。

なんだ古典か、と邪険にするなかれ。
基本なくして応用がないように、古典が存在しなければ革新も新作もない。
特にボレロは、エスクエラ・ボレーラという踊りの一流派を築いて人気を博している。
またボレロといえば、丈の短い上着を指すが、実はスペイン語の「ボレロ(bolero)」が語源になっていることをご存じだろうか。
一方クラシック畑の人々には、パドレ・ソレール(ソレール神父)のファンダンゴがおなじみだろう。
さらに言えば、アラゴンやナバーラのスタイルが名高い舞踊ホタは、ジプシーの手によって、フラメンコの定番アレグリアスに変容する。
このように、フラメンコの傍らには、スペイン舞踊という存在が豊かに広がっているのだ。

生きつづける伝統と革新

ボレロ(C) Jes」s Robisco
ボレロ/foto(c)Jes」s Robisco
こうしたスペイン舞踊の魅力をたっぷりと味わうチャンスが、この秋やってくる。それが、スペイン国立バレエ団日本公演だ。

創設は1978年。長らく独裁政権を敷いていたフランコ総裁が死去、若い国王をいただく王国に生まれ変わって3年後のことだった。
初代の芸術監督は、アントニオ・ガデス。以来、ホセ・アントニオ、ビクトリア・エウヘニア、アイーダ・ゴメス......。
スペイン舞踊界を彩った大物の名前がずらりと並ぶ。

その過程で、スペイン国立バレエ団の代名詞とも言うべき作品が数々生まれた。ギリシャ悲劇に取材した『メデア』は深いドラマ性で観る者を魅了し、『ボレロ』はラヴェルの名曲に乗せ、バレエならではの揺るぎない動きで観客を圧倒した。
スペイン民族楽派の雄ファリャの『三角帽子』は、衣装をピカソが手がけたことでも話題になった。
スペイン舞踊の申し子グラン・アントニオのDNAを継ぐホセ・アントニオも、『ソレールのファンダンゴ』ほかの名作を残している。

これらの作品はキャストや演出を変えながら上演され、新作も次々と生まれている。
歴代の監督たちをはじめ、アントニオ・カナーレス、ローラ・グレコ、マリベル・ガジャルド......数えきれない舞踊家がここから巣立っていった。まさに伝統と革新だ。

セビリア組曲(c)Stanislav-Belyaevsky

セビリア組曲/foto(c)Stanislav-Belyaevsky
そして、現在スペイン国立バレエ団を率いるのは、今年40歳という若さながらキャリア・名声ともに充分なものを持つアントニオ・ナハーロ。
国立バレエ団でもかつてプリンシパル・ダンサーを務め、ランベール、ジュベール、アニシナ&ペーゼリら花形フィギュアスケーターへの振付も手がけている。
その独特の華やかさは、前回の来日公演でもすでに発揮されていた。
スペイン舞踊とフラメンコの新たな出逢いに、日本の観客は胸を熱くし喝采を送った。

その手腕は今回のプログラムにも反映されている。
Aプログラムがスペイン舞踊の粋を凝縮した「ファルーカ」「ビバ・ナバーラ」に、名作が偉才ラファエル・アギラールの振付で生まれ変わる「ボレロ」、
ナハーロの華やかさが結晶したアンダルシア絵巻「セビリア組曲」。
Bプログラムがギターを活かしたクリエイティブな作品「アレント」と、マントンの最高峰といわれたブランカ・デル・レイのソレアを核に据えた「サグアン」という、ともに日本初演となる2作品。
今回も目が離せない。

初来日から四半世紀の時を経て、色合いが褪せるどころかいよいよ華やぎと輝きを増してゆくスペイン国立バレエ団。
この秋も、観る者の心を熱く焦がしてくれることだろう。

芸術監督 アントニオ・ナハーロ プロフィール

アントニオ・ナハーロ
(c)Outumuro
1975年生まれ。ラファエル・アギラール・スペイン舞踊団「カルメン」の闘牛士役で好評を博す。以後、アントニオ・ガデス、ホセ・アントニオ、ホセ・グラネーロなどの作品で主演を務める。1997年スペイン国立バレエ団入団。アイーダ・ゴメス芸術監督のもと、プリンシパル・ダンサーとして 「La vida Breve」、「ポエタ」などに出演。2002年映画「サロメ」でヨハネ役。振付作品も数多く、受賞歴も数多い。フィギュアスケーターへの振付でも名高い。2002年、アントニオ・ナハーロ舞踊団を結成。2011年4月、スペイン国立バレエ団芸術監督に就任。

スペイン国立バレエ団2015 日本公演概要

◆東京公演:
2015年10月31日(土)~11月3日(火・祝) Aプロ
10/31 13:00  / 17:30
11/1 13:00
11/3 13:00
東京文化会館
11月20日(金)~11月22日(日)Bプロ
11/20 19:00
11/21 13:00 / 17
:30
11/22 13:00
Bunkamura オーチャードホール
●Aプロ ファルーカ/ビバ・ナバーラ/ボレロ/セビリア組曲
●Bプロ アレント(新作・日本初演)/サグアン(新作・日本初演)
◇Cプロ  マントンのソレア/ボレロ/セビリア組曲 芸術監督:アントニオ・ナハーロ
出演:スペイン国立バレエ団
■料金:S席 ¥12,600/A席 ¥10,500/B席 ¥8,500/C ¥6,500/D ¥4,500(税込)
■主催:TBS/TBSラジオ/CIC/MIYAZAWA & Co.
■企画・招聘:TBS/MIYAZAWA & Co.
■後援:駐日スペイン大使館/セルバンテス文化センター東京/日本フラメンコ協会/BS-TBS
■公演ホームページはこちら
■チケット取り扱い 
TBSオンライン 「TBS スペインバレエ」で検索
チケットスペース 03-3234―9999(オペレーター対応)
         「チケットスペースオンライン」で検索  他
ローソンチケット 0570―084―003(Lコード35050)
         0570―000―407(オペレーター対応10:00~20:00) 

◆各地の公演
11月5日 名古屋公演 愛知県芸術劇場 Aプロ
11月7~8日 大阪公演 フェスティバルホール 7日Äプロ 8日Cプロ
11月12日 岡山公演 岡山シンフォニーホール Aプロ
11月15日 仙台公演 イズミティ21 Aプロ
●Aプロ ファルーカ/ビバ・ナバーラ/ボレロ/セビリア組曲
●Bプロ アレント(新作・日本初演)/サグアン(新作・日本初演)
●Cプロ マントンのソレア/ボレロ/セビリア組曲

濱田吾愛 プロフィール

川崎市生まれ。音楽評論家の父の影響で幼いころからフラメンコに親しむ。立教大学文学部卒業後、音楽出版社勤務を経てフリーランスのライターとなる。2004年より東京芸術大学で非常勤講師としてスペイン音楽を講義。エンリケ坂井氏にカンテ・フラメンコを師事。スペインでもシンポジウムや公演に参加。2010年8月『物語で読むフラメンコ入門~用語辞典AtoZ』を出版。ライブ活動のほか、2011年カンテクラスを開設。
A puro
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