プーロ・ドランカー

16 木下惠介監督「永遠の人」×六調子(球磨焼酎)Keisuke Kinoshita「Un amor inmortal」×Rokuchóshi(aguardiente de arroz en Kumamoto)

16 木下惠介監督「永遠の人」×六調子(球磨焼酎)

 数少ない本コーナーのファン(=酔っ払い)の皆さん、ご無沙汰してます。死の原稿ロードから、一瞬フラメンコの楽園に戻ってきました。では、早速ご紹介するのは、1961年公開の邦画「永遠の人」です。何と、このテーマ音楽は全編フラメンコ! しかもギターを弾いているのは、日本フラメンコ界創成期の星、勝田保世(クレジットは「ホセ勝田」と表記)さんです!

 勝田保世さんは、筆者が尊敬する高場将美さんが敬愛する人で、つねづねその演奏を聴いてみたいと思っていましたが、風のような人だったらしく、録音(アルバム)が全くないと聞いていて、ずいぶん前に諦めていました。
 ところが先日、長年一緒に働く俳優のIさんが「びっくりすると思いますよ」と、いきなり本DVDをプレゼントしてくれたんです! 早速見てみると・・・しびれましたね。しかもテーマ曲のレトラ(歌詞)は熊本弁。ある緊迫のシーンでは、勝田さんの得意曲だったという、ファルーカが炸裂します!IMG_0002.jpg
 映画は阿蘇山をのぞむ田園風景の中、主人公のさだ子(高峰秀子)と夫の平兵衛(仲代達矢)の、第二次大戦中から戦後にわたる、長い確執と愛憎を描く人間ドラマ。あぜ道を走る着物姿の高峰秀子のバックに流れるソレア風の曲など、モノクロの画面に展開する日本男女の哀歓に、フラメンコギターのラスゲアード(掻き鳴らし奏法)やパリージョス(カスタネット)は、ビシリとはまります。オレ!
(左上写真は1978年初版、音楽之友社発行の勝田さんの本。絶版なので古書で探してみて下さい。面白いですよ!) 
 昨年、生誕100年を迎えた木下惠介監督の作品は、筆者は恥ずかしながら初見でしたが、素晴らしいセンスの持ち主ですね。お話自体も、長年連れ添ったご夫婦や恋人がいる方などは、きっと共感する部分が多いことでしょう。男女の業を描きつつも、突き放した冷たさがない監督の人間観に、とても共感を受けました。
 さて、これに合う酒は・・・と台所を見回したところ、本当に偶然、この映画の舞台・熊本県が誇る球磨焼酎「六調子」の小瓶を見つけました。随分前に貰ったのを忘れていたのです。
 早速あけてみます。もう一度映画も流して一口含むと・・・何ともいえぬ香気と力強い味わい。懐かしい感じ。昔ながらの剛毅な米焼酎です。酒好きにはたまりません。目の前では高峰秀子と仲代達矢の修羅場が、いよいよ始まろうとしています・・・。

永遠の人
永遠の人

¥2,940(参考価格)

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中谷伸一 プロフィール

独自の視点でアルティスタたちの生き様とその芸=アルテを描き、フラメンコの真髄に迫るルポライター。月刊誌パセオ・フラメンコで連載執筆者として活躍中。酒と放浪と音楽をこよなく愛するフラメンコ界最後の?!無頼派。

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