バイレ・ソロ部門第3日

菊地裕子 全体のレベルが高いのはいつものことながら、今年は強烈な印象を残す踊りが少なかった。協会の奨励賞選考会では8名を推したが、私自身のメモに「特A」は4名しかいない。いわゆる「上手に踊れる」という人は沢山いるのだけど、際立った個性を感じさせたり、心に刺さる感動を与えるところまではなかなかいかないことがほとんどだった。準備を進めてきた人の中には、今年3月11日の大震災で被害を受けた人も少なからずいるだろう。それがステージの出来に影響しているのかもしれないとも思う。けれども、こんな時だからこそ、フラメンコをフラメンコたらしめているものが大きな力を発揮すると私は信じている。いつもより、多少書き方が厳しいかもしれないが、伝えたいのは、あなたが思っているよりも「フラメンコは素晴らしい」、あなたが考えているよりも「アルテは心を動かす」ということだけだ。フラメンコの力をもっと信じて欲しい。あなたの中にある力をもっと信じて欲しい。見果てぬ夢に向かって進む人々を、これからも私は私なりに応援していく所存です。

堀越千秋 カンテはあなた、私は踊り、というのは正に日本的お稽古ごとの延長上にある悪弊である。フラメンコとはそういうものではない。カンテを唄えなかったら、ギター(本年のギターの諸君も、唄うよりつぶやきという感じであった)も踊りも存在しないのだ。よくぞ本質をするりとトバして、避けて、もっともらしく動きだけをマネして、日本フラメンコは今日までやってこれたものだ!もはやこの原発事件(すでにして原発は事故ではない。事件=国家的犯罪である)による放射能で、われわれ日本人に呑気に長い未来はないのだから、僕も正直に言っておくことにしたい。「唄なき踊りはニセモノである!」。また来年! もし出演者の方で御質問のおありになる方は、どうぞ往復ハガキにてアクースティカあて(〒141-0021 東京都品川区上大崎2-15-5長者丸ビル3F)にお送りください。必ずお答えします。ランクはA、a上、a中、a下、B上、B中、B下、b上としました。

西脇美絵子 震災の影響なのか、世代交代の時期だったのか、常連の出場者が少なく新しい顔が目立った。そのせいか、突出した人は少なかった。例年同様全体のレベルは高い。特に下の方は、今年また一段レベルが上がった印象を受けた。個人的に絶対奨励賞!と評価した人が2人、奨励賞と評価した人が4人。奨励賞のボーダー上にいた人が13人、あと一息でボーダー上と感じた人が21人。ここまでで40人になる。全体の6割以上である。残り4割の人たちだって、すぐその後ろに控えている。僅かの違いの中で大勢がひしめきあっていた。この数字から何を読み取るべきか? 誤解を恐れずに言うなら、奨励賞なんて時の運だと腹をくくることだ。新人公演の傾向と対策なんて笑い飛ばしてしてしまうことだ。 皆うまいのである。皆美しいのである。フラメンコ舞踊独特のテクニックも、かなりの人が器用に身に付けている。そういうものを突き破ってその人の内から溢れ出る、命のマグマと私は出会いたい。私が高い評価をつけた前述の40人には、各講評の最後に、◎スペシャル、◎、〇、〇小の印を付した。


10 大岩奈青

(タラント)

大岩奈青


●この曲を踊るには重心が高すぎるのでは。動きがまだ粗く、しかも振付をなぞっている感じがする。これは中から動いていないからで、手先、足先で踊っているように見えては、心を打つ踊りは育たない。タンゴになってから、やっと生き生きとしたところが見えた。最初は緊張してたんだね。しかし、やるべきことは一杯。頑張れ!(菊地裕子)

●動きに自信ない。リズムに遅れる。もっと大らかに自信をもって、カンテを唄ってから踊りなさい。[B下](堀越千秋)

●重さがあるのに妙に印象が軽い。センスは感じるのだが、まずは基本の習得が先ではないか。ブラソの使い方に難点があり、踊りが小さくまとまってしまった。(西脇美絵子)

11 小澤圭子

(アレグリアス)

小澤圭子


●おお、理解度も深まって、はっきりとした成長を感じる踊り。技を沢山入れて、キラキラしたアレグリアスになっている。その技をもっと楽しむ余裕が出来れば、格段に説得力が増すはず。もう、とにかく踊って踊って、そこからジャンプするのだ!あ、そうだ、老婆心ながら、その上着はないほうが印象がよかったと思います。[A評価] (菊地)

●動きと止まりのリズムが良い。グラシアがある。リズムを早目早目に取って体が早めに動くのが良い。もっと早く!もっと早く、と思いながら見ていた。運動神経よろしく楽しいおどりで、もっと見たいと思った。[a上](堀越)

●周囲の空気を引き寄せ、それをパッといさぎよく放出。生命力あふれるアレグリアスだ。ひねりの効いた動きで、コンパスにもよく乗っている。もうひとつ気持ちを強く持って。最後のひと押しがほしい。〇(西脇)



12 岡安真由美

(タラント)

岡安真由美

●空気を支配していて、気合も十分。身体の使い方、工夫されたステージングも素晴らしい。大舞台で見栄えがする。舞踊の説得力はピカイチだったと思う。しかし、「特A」にしなかったのは、足音に心地よさがないから。力でねじ伏せるようなサパテアードは感心しない。シンプルな足ほど、コンパスが鮮やかに感じられるものであって欲しい。そうであるべきと思う。どうぞ、もっと研究してください。 [A評価] (菊地)

●カルメン・アマヤみたいなシルエットに期待した。足強い。しかし、運動能力をアテにして飛ばしているかんじがした。みんなに口を酸っぱくして言っているが、何故みなさんは腕をピンと棒伸ばしにするのだろう?カルメン・アマヤがそうしたかどうか、ビデオをよくごらん。筋肉的自己満足をアテにして踊ると必らず腕が伸びる。そしてそれに気づかない。何というズサンさ!一般論だが、皆さんは何の感覚をアテにして踊りますか?筋肉?関節?どうぞカンテによって暗示される内臓に探りを入れて下さい。たとえば、息を吐きつくしたあと、しばし息を止めたとき、あなたは横隔膜と肺を感じなさい。まずはそのへんから。[a中](堀越)

●重厚な、きっぱりと潔いタラントだった。身体性、フラメンコ舞踊の技術ともにしっかりしている。舞台の使い方も心得ている。が、何より良かったのは、一つ一つの動きに意思が感じられ、説得力のあるバイレだったこと。タラントの重さと岡安さんの思いが、こちらのグッと深いところに落ちてきた。Ole!◎(西脇) 

13 中村葵

(ティエント)

中村葵


●ストップモーションを多用したというか、ポーズを取っているところを繋いだというか、不思議な振付。顔が小さくてスタイルが良いから絵にはなるのだけど、踊り手の中身がつかめず、正直言って困惑。リズムが生まれないとしたら、フラメンコの楽しさはどこへ?......ごめんなさい、何がしたかったのか、私には分かりませんでした。(菊地)

●美しい。さわやか。透明感。見事に3回転(?)を決めてくれました。バレー的にではあるが、何でもこなしてしまう自在な体!一瞬も止まらず流れていく。あれよ、あれよ、であった。足もよろしい。マルカールをもっとフラメンコにして欲しい。さて、フラメンコとは何か?!カンテを唄いなさい。動いてしまう体をもて余している内はフラメンコにはならない。ロシオ・モリーナを見てごらん。あなたとの違いは?[a上](堀越)

●これからが楽しみな若いパワー。技術的には未熟だし、どちらの方向を見ているのかもよくいわからないのだが、コケティッシュな魅力。ファルダを丁寧に扱っていたのも好感が持てた。全体に走り気味だったと思うが、もうワンテンポ落としても良かったのではないだろうか。(西脇) 




14 阿部和子

(ティエント)

阿部和子


●いかにもフラメンコ!という王道の出だし。マルカールもしっかりしていて、堂々とフラメンコしている感じ。その心意気や良し。けれども、展開が読めるので、途中から飽きてしまう。これは、本人が振付を追っているからだと思う。自分に意外性がなければ、人は驚きません。即興をやれと言うのではなく(やるに越したことはないが)、自分に必然性が生じるまで動かないでいれば、思いがけない動きが出てくるはず。そんなことにも挑戦してみては?あと一歩でA評価!(菊地)

●動きがねっとりして、遅れる。まずは唄いなさい。唄はあなた、踊りはわたし、という心がけが正しくない。[B下](堀越)

●身体がまだこなれておらず、せっかくの長身が生かされていない。動きもまだ荒い。だが、阿部さんの踊りに、なぜが惹きつけられた。阿部和子というドラマを見てる感じというか、キャラクターが立っているのです。それは踊り手にとってとても大きな強みになると思う。でもそれを生かす器=身体をまずはしっかり作ってください。(西脇)

15 黒田紘登

(ソレア・ポル・ブレリア)

黒田紘登

●ファルキートを髣髴させるが、昨年に比べ、やりたいことが鮮明になって、自身の個性が立ってきた。素晴らしい。軸がしっかりしてバネも効いている。力強さ、キレ、コンパス感も申し分なし。土曜日のヤスラエル(秋山泰廣)のところでも書いたが、ここから先、独自の世界を創っていくことが大事。重く、深い曲への挑戦を期待します。[特A評価] (菊地)

●ボクシングみたいな変わった構え。よろし。ケンカみたいな生ま生ましさを見せてくれた。遠慮のない押しつけがましさ。よろし。もっとペソ(重さ)が欲しい気もするが、あれよあれよ、と迫力で見せてくれた。頭髪の、スポーツまげみたいのは、さて? カンテを唄えばもっと深みも表現できるようになるだろう。[a上](堀越)

●一瞬で会場の空気をつかんだ眼力、集中力。フラメンコの場合、よく動く身体は、時にマイナスに作用することがある。でも、ここまでやってくれたら、文句ないです。スピード感あふれる超絶の振りを、見事に自分のものにして踊っていたと思う。押し出しの強さも絶品でしたね。さらに欲を言えば、もうひとつ、下に向かうエネルギーがほしい。舞台人としての腹のくくりを感じました。がんばってください。◎(西脇)

16 荒井陽子

(ティエント)

荒井陽子

●振付で一杯いっぱいになっちゃったか?観ていてハラハラ。これじゃ振付の面白さは伝わらない。身体作り、踊り込みはもちろん、マルカールをしっかり習得して、踊りに余裕を持って臨んでください。やること満載!頑張れ頑張れ!(菊地)

●美しい姿。リズムの尻が重いかんじ。リズムに先んじよ。退屈。万才するな。[B中](堀越)

●ブラソの動きに癖を感じるなど、技術的な課題はまだまだ残っているが、荒井さんなりによく踊り込まれたティエントだったと思う。ただ、サラッと踊っている印象で破綻なくまとまっているという以上に伝わってくるものが少ない。ジャマーダが他の部分よりも格段に良かったのはなんでだろう?(西脇)

17 知念響

(ソレア)

知念響


●出てきた時から、気の充実が凄い。力の溜まり具合に、切実さを感じる。ソレアを自分のものとして踊っているのが、びしびしと伝わる。感動の一言。フラメンコって素晴らしい![特A評価] (菊地)

●神経が行き届いた、キビキビした踊り。ソレア・ポル・ブレリアやアレグリアスの方が向いているかも。が、それは同時に大きさをさまたげるものでもある。つまり、細かいペンで細かい静物画を描くことになるのだ。では、神経が行き届いたままスケールを大きくするにはどうしたら良いか?!諸芸術共通の問題。力を抜くのです。力を抜く、とは?その意味が分かるまでに、ひょっとすると十年かかるかも。大変。でもそれが出来なければ十年たっても2流。もっと大変。[a下](堀越)

●気合は十分伝わってきた。一つ一つの技術力もしっかりしている。ただ、一貫して力み過ぎているせいか、迫力はあるのに全体が一本調子になってしまってなんとも惜しい。緩急がつけられるとさらにスケールの大きいバイレになるはず。〇(西脇)

18 中村里美

(ソレア)

中村里美


●下手から登場し、サリーダのあとの唄まで歩きながら聴いていたのは、ちょっとどうなのかと思ったが、踊りは上手い。ソレアを正しく咀嚼し、正しく踊っている印象。しかし残念なことに個性が際立たない。はみ出ることを恐れず、何が好きか、大声で言ってください。そこにあなたが見えるはず。[A評価] (菊地)

●動きは大変よろしい。力むこと少なく、オーソドックスなかんじ。唄えますか?メリハリが出ますよ。[a下](堀越)

●力強いダイナミックなバイレ。身体が良き切れており、ブラソもとてもきれいで踊り手としての華のある人だ。ただ、なぜか全体に大味な印象になってしまう。よく動く身体の内側からでてくるものがまだ弱いからだろう。〇小(西脇)

19 出口知子

(アレグリアス)

出口知子







●バタ・デ・コーラで登場するも、まだ扱い方が雑で、忙しい感じ。そのせいか、振付が借り物の印象になってしまった。バタに挑戦する気持ちは天晴れだけど、あの長い裾は身体の一部となるのだから、自分の身体がフラメンコしていないと振り回されるだけになる。身体を作って、マルカールをしっかりしっかり!頑張れ!(菊地)

●楽しげ。可愛い。リズムより早く出なさい。リズムを待つな。まだ下手だが、素直な感じがあるので、2、3年で見違えるかもしれない。[B中](堀越)

●エネルギーが身体からはちきれている感じで、バタ・デ・コーラに着負けないパワーがあった。だが、バタの裾さばきは、まだ荒い。勢い余ってエネルギーが浮いてしまう。その気持ちを、パワーを受け止められる身体を作ろう。(西脇)

20 高橋梨紗

(アレグリアス)

高橋梨紗


●赤い靴が効果的で、振りの中でとても印象に残った。全体によく踊っていたが、動きに粗いところがいくつか。身体のコントロールがもう少し出来るようになるとA評価に近くなるはず。楽しげに踊ったのはgoodでした!(菊地)

●楽しくて勢いがあってよろしい。早く出よ。首が不安定で、体の都合によりフラフラする。空間を感じて欲しい。[B上](堀越)

●華やかさいっぱいの芳しきアレグリアス。曲全体の中で、ドラマティックに溌剌としたアイレを表現していた。ただ、抑制に向かう力がもう少し欲しい。〇(西脇)


21 小杉愛

(ソレア)

小杉愛


●見入ってしまって、メモがほとんどない。「重く、深く、そして足が素晴らしい」と、それだけ。覚えていることを書けば、フアン・ビジャールJr.の唄によく応えて踊っていた。とにかく感動して、しばらく胸が震えていた。協会の奨励賞は逃したけれど、私的には奨励賞です。オレ! [特A評価] (菊地)

●ペソがある。腕をむだに上げることなく、不動の姿のあるのが良い。腕もつねに曲がっていることで、気を内に内に入れてゆく感じ。足よろし。首が少し前に出るくせあり。野獣のような危うさを感じさせてよろし。ラストはもう一工夫。あるいは工夫しすぎ?[a中](堀越)

●重心の移動がスムーズで、動きに安定感がある。ブラソ、サパテアードなど一つひとつのの技術もしっかりしている。ただ、うねり上げていくような迫力には至っていない。緩急をもっとつけられるようになると、身体表現としての奥行きが出てきます。そして、そこに内側からあなたの何があふれ出してくるか、です。〇(西脇)


22 西岡愛

(ファルーカ)

西岡愛


●ごくシンプルな振付のため、動きに甘さがあると、表現が弱くなる。厳密に踊らなくては。シンプルな振付ほど、フラメンコ度が露呈するものだから、動きの一つひとつを自分の中まで潜って精査する必要がある。振付をなぞるだけでは、観客には何をしているのか伝わりません。精進、精進。(菊地)

●踊りのセンスがある。足つよし。技もある。が今一つ退屈。当人が本当は何をしたいのか、分っていないからだろう。唄の中にしかないのですよ![B上](堀越)

●メリハリを表現しようとしているのはわかるのだが、力が入りすぎているので全体に動きが硬くなってしまった。その分思いが身体に伝えられていない。意識は細やかに行きとどいていると感じるし、かなり技術的にも仕上がりつつあるという印象。もう一息。引き続き、がんばってください。〇小(西脇)


23 横山亜弓

(タラント)

横山亜弓


●スタイル良く、美しい踊り。力もあるのだけど、時々、その力が外に逃げてしまうのが気になる。まだ形で踊っているのかもしれない。溜めを研究して、自分の中にもっと重さと密度を感じてください。[A評価] (菊地)

●大柄で美しい。冒頭のダダダダで驚かしてくれたが、後半バテた。うごきは良いのだが、うごきとうごきの合間に小さく休むため、抜けてしまう。[B上](堀越)

●気合が充実していて技術的にもしっかりしている。立ち姿がきれいで、細い身体にパワーがあふれていた。ただ、視線の持っていき方など、細かい部分で荒さが目立つったのが残念。〇小(西脇)


24 李成喜

(アレグリアス)

李成喜


●それなりに振りをこなしている感じで、力や思いが内側から湧き上がる風情がない。ブラソに粗さが目立ち、空気を抱えて踊るイメージに欠ける。振付をそつなく踊っても、意味はありません。振付を裏切るほどの何かを内側に見つけて。(菊地)

●美しい姿。なるほど、踊りとは、美しい人がその美を誇示するためにあるんだなあ、と余計なことを思った。足よろし。もっと早く早く出なくては。リズムに合ったアレグリアス、なんて犯罪です。先んじよ!オーケストラのリズムにピッタリ合った指揮者なんてありえないでしょう?![B上](堀越)

●グラシアたっぷり、グァパなアレグリアス。軸がしっかりしているので動きがスムーズで美しい。一通りの形はできているし、李さんならではの個性の気配も感じます。さらにそれを大きくして、あなたのアレグリアスを完成させてください。〇小(西脇)

25 佐知子カーディラ

(マルティネーテ・イ・シギリージャ)

佐知子カーディラ


●薄紫の大きなマントンが印象的。しかし、これが小道具としか映らなかったのは残念。振付の消化の仕方も同じで、小道具、動き、すべて有機的に結びついていない感じだ。問題は動機だと思う。なぜ、そう動くのか。なぜ、マントンなのか。どう動いたら、自分の動機は満足するのか。要研究だと思います。(菊地)

●貫録がある。少な目の足が良い。リズムに遅れる。[B上](堀越)

●堂々とした踊りっぷり。思いの込め方にきめ細やかさも感じられる重厚なソレアの肌合いがあった。ただ、せっかくエネルギーはたくさん出ているのに、小手先で踊っているような印象だ。身体と気持ちの使い方に工夫が必要。もう一度基本をしっかりやってみてください。(西脇)


26 杉原敦子

(グアヒーラ)

杉原敦子


●バイオリンが入る、変化に富んだ振付。しかし、落差のある振付の面白さが、十分に生かされていない。踊る姿勢、特に背中に緩みがあるからで、楽そうに踊るのと緩みがあるのは違うことを知るべし。肩の力を抜いても、身体は常に臨戦態勢。車で言えば、いつでも走り出せるニュートラルの状態。踊る身体にもっと意識を!(菊地)

●バイオリンを使うアイデアはよろしい。新なる楽しさを見出した。リズムに遅れる。先んじよ。[B上](堀越)

●緊張のせいだろう。最初は動きにぎこちなさを感じたが、踊り進むほどによくなっていった。強さも柔らかさもある大人のグアヒーラ。語りかけるように踊っているのが伝わってきた。ただ、身体から時々緊張感が消える。フラメンコならではの呼吸感というか、リアルな躍動感がもうひとつほしい。〇小(西脇)


27 久保田晴菜

(ロメーラ)

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●いいところもあるのだけど、全体に振付を上手にそつなく踊っている印象。それなりに技術はあるのだから、動きの一つひとつをもっと自分なりに深めて、自発的に踊ることを考えて欲しい。難しい振付を覚えることに汲々とするより、もっと苦しいけどやりがいのある楽しいことが、フラメンコにはある。もっと悩んで!あと一歩でA評価。(菊地)

●美しい姿。まっすぐな気性が見えて楽しい楽しい。踊る、ということの喜びがのびのび感じられた。もっともっとリズムに先んじてよろしいと思う。大器の素直さがある。[a上](堀越)

●女性らしい曲線美に溢れたロメーラ。ブラソ、マノの動きが美しい。溌剌とした躍動感もあり、とてもチャーミング。ただ、早い動きになると荒くなるのが目についた。残念。〇小(西脇)

28 下山明子

(アレグリアス)

下山明子


●楽しく踊ろうという気持ちはある。すごく分かる。そこは良し。しかし踊るための身体が出来ていない。まず、フラメンコのニュートラルな姿勢を身につけよう。あごは上げすぎると力が抜けてしまう。動く時は身体の中心から。そうでないと空気を動かせず、貧弱な踊りになります。コツコツと頑張ろう!(菊地)

●未熟である。リズムに遅れる。まずは唄ってごらん。[B下](堀越)

●フラメンコは立ち姿が命。凛とした立ち姿をまず獲得してください。そして基本をしっかり身につけること。顔の向き、視線、上体の角度なども気をつけて。そして何より集中力が大事です。こう踊りたいというイメージが先行しているように感じます。まずは、基本をしっかり。(西脇)



29 遠藤美穂

(シギリージャ)

遠藤美穂


●上手い!とても抑制が効いていて、真実味がある。集中度も高く、こちらも見入ってしまったが、強く心に突き刺さってくるものがない。惜しいというより、すごく面白いと思って読んでいた小説が、途中からよくあるパターンにはまって終わってしまい、「なんだよー、悔しいっ」という気持ち。正しいことは大事。けれど、あなたが唯一無二のあなたであることはもっと大事。それを探して欲しいと思う。[A評価] (菊地)

●うますぎるほどの完璧。実に踊りが効果的であってうならされるのだが、泣かされはしない。フラメンコを感じない。カンテをぜひ唄ってほしい。ここで止まったら芸は終る。そんな人は沢山いる。油断せずにカンテを唄いなさい。[a上](堀越)

●今年一番印象に残った一押しバイレの一つ。スケールの大きいシギリージャ。揺るぎない軸に支えられ、長い手足を使いこなしてとても美しいフォルムだった。その器に高い集中力、気合いが存分に注ぎ込まれ、美しさに終わらない密度の濃い内実がありました。重厚で迷いのないアイレ。重くなりすぎずに、大地に根を張ったような強さ。素晴らしかったです。◎スペシャル(西脇) 

30 戸塚真愛

(ソレア・ポル・ブレリア)

戸塚真愛


●きちんと踊っている印象。悪くないが、踊りに強く引き付ける個性がない。たとえば今後、自分を探ってみて、強さ、スピード、リズム感、柔らかさ、何でもいいからひとつ、過剰なまでに好きなことを追求したら、そこから違うステージが拓けるはず。自分を探って、あなただけの個性を彫り上げてください。(菊地)

●カンテが心中にない。退屈。カンテなき踊りほど変なものはない。自ら唄ってごらん。他に道なし。[B上](堀越)

●全身に力が入りすぎてしまい、エネルギーがストンと落ちてこない。地面に跳ね返されてしまう感じで動きが硬くなってしまった。まずは基本にしっかり取り組もう。(西脇)


31 後藤歩

(ティエント)

後藤歩


●非常に上手い。けれども、まだ他人の振付を踊っている気配がする。もしかしたら他人の振付じゃないかもしれないけど、そんなことはどうでもよろしい。振付は振付だと分かった時点でアウトなのであって、極論すれば、振付でも即興でも、今まさに生じた動きであるかのように踊って欲しいのだ。自分から生じたものごとに自分で驚くほどに。自分の真の姿にぞっとするほどに。そんなフラメンコ、いやですか?[A評価] (菊地)

●美しい。鋭いうごきに大変たのしめた。でもあなたに不足はカンテです。知っているはず。だったらなぜ唄いませんか?実に不思議。皆さん全員に言えることだが、カンテが唄えなくちゃ踊れっこないのです!知っていながらにやらない。皆さん2流独特のたじろぎと安住。人前で唄わなくともよい。とにかく唄いなさい。[a中](堀越)

●切れ味のよい動きが印象的。シンプルで美しいブラソの動きで緩急もあり、かなり技術的にはしっかり踊られていたと思う。あとは、ティエント独特の肌合い、揺るぎない重さがほしい。もっとタメを効かせ内なる思いを外に出してもいいのではないか。ほりの深さがほしい。〇(西脇)

32 末松三和

(ソレア)

末松三和





●昨年よりも成長のあと。力強さを感じる。力そのものを感じる。曲想を忠実に踊ろうという心意気や好し。あとは一つひとつの動きをもっと深彫りしていくこと。もっと余裕を持って遊びを入れること。遊びと言っても、別にふざけた振りが欲しいのではなく、緩急の緩です。ああ、来年が楽しみ![A評価] (菊地)

●うまい。鋭いうごきがよろしい。足よろしい。快よい踊りであった。たまたまだが、本年ラストの踊りがこのうまい踊りでよかった。安心して一年を眠れる。ただし、カンテのなさはいかんともしがたい。[a中](堀越)

●瞬発力あり。腰が決まっていて切れ味のよいブエルタ。重くて軽やかで動物的な野性を感じさせる迫力があった。が、力の入りすぎを感じさせる部分も時々ある。もうひとつ身体が意識から解放されると、ぐっと説得力のあるバイレになるだろう。〇(西脇)



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