大沼由紀のバラよ、荒野に咲け!

あと一か月...。11月公演「Seno Flamenco」を前に

大沼由紀舞踊公演「Seno Flamenco」まで一か月を切ってしまった。今年は私同様長年フラメンコを追い求め続ける日本人の仲間と、日本に活動拠点を移したカディス出身の歌い手クーロ・デ・ラ・チクエラがメンバーだ。去年はヘレスから4人のヒターノを招聘し、彼らから必然的に湧き上がるフラメンコを受け止め、溺れそうになりながらもなんとか泳ぎ切ったという感じだったが、今年はさて、どんなことになるだろう。

クーロは鹿児島在住なので、先月と今月それぞれ2日間ずつ上京してもらったのだが、先月はまずは初対面同志、お互いを知るために時間を過ごした。公演で何をやるかなど考えず、ただしみじみと彼の歌を聴いたり、彼にソレア、シギリージャ、アレグリアスなど歌ってもらって私が全力で踊ったり、西さんに「歌いたいものを歌って!」と言って歌ってもらったり、挙句の果てには井山直子ちゃんにも「歌えー!」とけしかけたり。

そんなふうに過ごす時間の中で、公演のイメージが少しずつ湧いてくる。うっすらと何かが見えて来た段階で、クーロは鹿児島へ帰って行った。

クーロ今月の上京の前には、私の中でおおよその流れが出来ていた。うまくいくかわからないけれど、やってみよう。アイデアを説明し練習が始まると、クーロがスッと立って歌い始めた。先月は聞こえなかったものが聞こえはじめる。あー、そうだ、カンテを踊る時のこの感触だ。動く瞬間を、動き方を、カンテが誘っている。この糸を辿れば、踊りが生まれる。

つくづく、こういったフラメンコの踊りは、一般的に言うダンスとは大きく違うと思う。どういう身体表現をするかが最初にあるダンスと違って、私達にはカンテがある。そしてそれを支えるギターがある。その音が持つ世界と身体の世界が一致しなかったら、どんなに素晴らしい身体使いをしてもつまらない。

少しずつ、少しずつ何かが開かれていく。クーロが私の目を見て話しかけた。
「ユキ、こんなレトラがあるよね。Con los ojito señas・・・」
(おっ、知ってるぞ!)急いで私が続ける。
「Que en algunas ocasiones・・・」
2人一緒に「los ojos sirven de lengua」(笑顔)
(時に目は言葉になる、という意味)

 カンテの微細な襞を聞き取ろうと、ついつい目線が下になっていた私に、なんと粋なはかない! じわっとあったかい気持ちになる。

商業的な匂いが皆無のクーロの歌は、私達に改めてフラメンコの魅力を再認識させ、たっぷりと栄養を降り注ぐよう。また私達日本人の熱いアフィシオンは彼を奮い立たせ、気が付くとお互いを尊重し合える仲間になっていた。

11月15日。日本人5名と鹿児島在住のスペイン人1名というユニークなメンバーで、どんなフラメンコが生まれるのか。何が起きるのか。何を起こせるのか。

目指すはSeno(懐、奥深いところ)。  
フラメンコの懐は、実は意外に心安らぐ場所なのではないかと思っています。

Seno_Flamenco公演チラシ⬛大沼由紀舞踊公演「Seno Flamenco」
 日にち 11月15日(水)
 場所  あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術センター)
     ・東京メトロ有楽町線「東池袋駅」直結
     ・JR「池袋駅」東口グリーン大通り直進徒歩10分
     ・都電荒川線「東池袋四丁目駅」徒歩2分
 料金  6,500円(当日7,000円)
 出演  大沼由紀(バイレ)
     Curro de la Chicuela(カンテ)西容子(カンテ)
     山内裕之(ギター)あいしまなおき(ギター)
     井山直子(パルマ)

 
【チケット取扱い】Confetti(カンフェティ)
 Confetti-web.com/senoflamenco
0120-240-540(オペレーター対応/10:00-18:00)
 (webからは座席がお選びいただけます)


談笑するメンバー

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大沼由紀 プロフィール

フラメンコ舞踊家。日本大学芸術学部卒業後、フラメンコに出会い佐藤佑子に師事。1992年渡西。 ラ・トナ、アナ・マリア・ロペス、アンヘリータ・ゴメス等に師事。約3年のスペイン生活の中、特にヘレスのフラメンコに強く惹かれ、現在の自身の舞踊スタイル、教授スタイルへと結びついている。99年、中野にエストゥディオ・ブレーニャを開設。カンテを愛し、フラメンコの真髄へと突き進むその真摯な姿勢と深いアルテでカリスマ的な人気を誇る。
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