飯塚真紀のスローライフ・フラメンコ

スローライフフラメンコ

午前中にヘレスのメイン広場のプラサアレナルを通りかけると
なんだか人だかりが。。。

「なんだろう?」
と覗いてみると、たくさんの料理が並んでいた。
テレビの取材も入っている。

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『Ruta del guiso de Jerez』(ヘレス 煮込み料理めぐり)のプロモーションだった。
10月の終わりから11月24日まで、
これに参加している40近いバルやレストランが、
それぞれの店で自慢の煮込み料理をタパ(小皿)で提供する。
食べた人が「美味しい!」と思ったら、そのお店に一票入れる。
そして、投票した人たちには抽選でホテル宿泊券や食事券などが当たるらしい。

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『ベルサ』というヘレスのポピュラーな家庭料理を提供していた
Tabanco Escuela という店が気になって
その足で、さっそく食べに行ってみた。

Tabnco(タバンコ)とは、ヘレスの特有のシェリー酒バル。
普通のバルの要素と量り売りのシェリー酒屋さんをミックスしたサービスをする。
地元のシェリー酒工場から直接仕入れた
防腐剤などの添加物の入ってない、より新鮮なシェリー酒を安く提供することで人気。

私がヘレスに住みだした15年前くらいは、
タバンコといえば、中年以上のおじさんたちのたまり場で
女性がひとりで入っていける雰囲気ではなかったのが
ここ最近は若い人や女性にも人気が出て
ヘレスではちょっとしたブームになっている。

だけど思い起こせば2008年バブルがはじける前は
ユーロの好景気の影響で町には、こじゃれたバルが出来始め、
古くさいタバンコは徐々に消えていった。
それが今や、あのころのこじゃれたバルがつぶれ
大不況中のヘレスには新タバンコがぞくぞく誕生し賑わっている。
ヘレスの伝統スタイルに戻ってきているのというぐあいか。

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常連さんらしい若くない男性客たちの隣のバーに腰掛け、
さっそくベルサを注文したのだが
「今、女房が運んでくるところ、あと一時間くらいかなあ」
当てが外れたと思ったが、
せっかく来たのだからとオロロッソセコ(普通のシェリー酒よりもアルコール高め)とチョリソを頼んだ。

普段飲まない私は、ふたくち口目でもう酔っぱらった、笑。
ひとりで暇だから、新聞など読みながらゆっくり飲み、少しずつチョリソ(豚ソーセージ)をつまんだ。
一時間くらい経っても、お目当てのベルサが到着しないからお勘定を頼んだ。
「ちょ、ちょっと待ってよ、今女房に電話してみるからさ。あっ、彼女に店から一杯おごってやってくれ!」

ってことで、おごってくれるって言うからお言葉に甘えた。
ちなみに、平日昼間の2時ですよー!みなさん!

二杯目をちびちび飲むこと15分、やっとベルサ到着!
すぐに店主さんが私の前にかなり丁重に(笑)運んできてくれた。

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普段はかなりの健康食志向の私。
だけど外食ではいつもはめをはずすという、筋金とか入ってない奴なんですわ、苦笑。

ベルサってかなり濃厚な料理。
この店のは、チョリソ、モルシージャ(豚の血入りソーセージ)、豚の固まり肉、豚の脂身、白いんげん、ひよこ豆、モロッコいんげん、かぼちゃ入りだった。
これはいったい何カロリー?って聞きたくなるほどの胃にずっしりとくる煮込み料理だ。

でも、とってもおいしかった。
店主さんにおいしく作るコツを聞くと
「まずは素材の良さ。うちではイベリコ(黒豚)のソーセージを使ってるよ。そして愛情。これ重要ね!丹誠込めなきゃいいものは出来ないね。そして2時間弱火でコトコトと煮込むんだ。待ってる間はフラメンコとか歌ってさ。それと煮込み料理は一晩置いた方がずっと美味いよね。今日のはそれだよ。どう?待った甲斐があったろ!」

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昼間っから酔っぱらっちゃって、
鼻歌とか歌いながら家の近くの広場まで来たら
ベンチでビール飲んでる近所のおじさん達に遭遇。
馬のおじさんが
「知り合いの観光客が来たら、オレを呼んでくれよ。観光馬車持ってるからさ。近所のよしみでお安くしとくよ。」

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私の住んでいるところは旧市街地のサンマテオ地区。
新市街地までは徒歩15分で、れっきとした町の中心街内なのだが
この広場ではいつも馬を見かける。
それは馬おじさんが、写真の後ろに見えるサンマテオ教会の裏に住んでるから。
「住所13番だからさ、きっと呼んでくれよ。忘れるなよ!」

実はへレスでは昼酒はごくごく普通。
多くの人が自宅で昼食をとるから、
仕事帰りの一杯が、日に2回もあるわけだ、笑。

酔っぱらい同士、なんだでだか一緒に笑っていると
そばを通る車からはカプージョデヘレス(ヘレスで人気者の歌い手)のブレリアが流れる。

4人にひとりが失業中という状況の中でも
ここには変わらない何かがある。
ヘレスの時間の流れ、ヘレス人の時間の過ごし方。
そして青い空。

酔って出て来る歌は80年代の日本の歌謡曲だったとしても
私は今の自分をスローフラメンカと呼ぶ。

私には私スタイルのフラメンコ。
Olé! スローライフフラメンコ。

お知らせ
このたび、約4年振りに帰国することになりました。
フラメンコシティオ主催のスローライフフラメンコワークショップを来年1月に実施予定。
詳細は近日中にシティオにてお知らせします。

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飯塚真紀 プロフィール

スペイン在住20年(内へレスに17年)のスローライフ・フラメンカ。スペイン政府給付留学生、文化庁芸術在外研修生としてフラメンコを学びプロの踊り手 として活動を続けていたが、2005年「スローイズビューティフル」という本に出会い、踊り手としてのステージ活動を休止。その後は「スローフラメンコ」 と題してありのままの自己を尊重し受け入れるフラメンコをワークショップを通して紹介している。2007年ヘレスにて地域通貨グループ『Red de moneda local Zoquito』を立ち上げ、運営に携わる。予約制の自宅レストランでは、季節の有機野菜で和洋折衷なヘルシー料理を提供している。
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