日西の架け橋「SAKURAプロジェクト」の果敢な挑戦! 

〔リード〕
「本場スペインの舞台に立ちたい」それは多くのフラメンコ・アルティスタたちの夢であり、目標だろうと思う。実際、スペインに住んでチャレンジをしている人もいるし、スペイン公演を行っている舞踊団もある。
スペインで活動するというチャレンジは様々な形で続けられており、少しづつ重い扉は開かれつつあるようにも感じるが、
その道は今なお険しい。
留学し学ぶ立場でスペインへ行くことは難しいことではなくったが、アルティスタとしてスペインで舞台に立つことには、さまざまな壁があるのだ。
フラメンコがアンダルシアの歴史と文化に根ざしたものであることを考えれば、それは当たり前とも言える閉鎖性のようにも思う。
しかし一方で、日本人(外国人)でありながら真摯にフラメンコと向き合い、人生をかけて自身のアルテを磨着続けている人も大勢いる。
そんな中、本場スペインで舞台に立つというバイラオーラたちの夢を実現させるための道筋を自身が日本とスペインの架け橋となって作ろうと活動しているアルティスタがいる。
今や日本のフラメンコの宝とも言うべき存在のギタリスト、エミリオ・マジャだ。彼がプロデュースする「SAKURAプロジェクト」は、中堅・若手の実力ある日本人バイラオーラたちを率いて、本国スペインで発表の場をつくって行こうとするものでだ。
昨年に続き今夏、エミリオ率いるSAKURAフラメンカたちはグラナダでの大ステージに立った。参加した踊り手は、浅見純子、荻野リサ、大塚香代、吉田久美子の4人。9月にはその凱旋公演が日本でも行われ、大きな注目を集めた。
このプロジェクトがすばらしいのは、これが一過性の取り組みではなく、継続的に取り組んでいこうとしていることだ。
しかも、固定されたメンバーではなく、志を共有する仲間を増やしていきながら、やっていくという。
大舞踊団や大御所アルティスタではない、今日本のタブラオの第1線で活躍するピチピチのバイラオーラたちの明日の可能性をその手につかむために。
日本人フラメンコの可能性を広げるこの取り組みに、シティオ編集部は熱いエールを贈りたい!
そこで、このプロジェクトの踊り手リーダーであり、エミリオの右腕となってプロデューサー補佐を務める浅見純子さんに、グラナダ公演のレポートと、SAKURAプロジェクトの歩みを寄稿していただいた。純子さん、エミリオからのメッセージも届いているので、ここにあわせて、紹介したい。

(文責・西脇美絵子)


image1 (1).JPGのサムネイル画像■特別寄稿 浅見純子
エミリオ・マジャ プロデュース「SAKURAプロジェクトVOL.2 ~ 日本とスペインの懸け橋  

日本在住のフラメンコギタリスト エミリオ・マジャ プロデュース・監修のもと、2013年から「SAKURAプロジェクト」はスタートいたしました、今年は3年目のプロジェクト公演でした。(詳しくは「SAKURAプロジェクト ヒストリー」をご覧ください)
2015年7月31日(金)Los del Corral 2015 Flamenco en GranadaLas verano FlamencoFestival に「Produced by Emilio Maya ~SAKURA FLAMENCA~」出演。
場所はグラナダ市内のCorral del Carbón (コラル・デル・カルボン)という会場で,
イスラム教14世紀に穀倉だった歴史的建物の中庭(パテオ)に作ったステージ。
この日はブルームーンといわれる3年に1度の満月の日で、本当にそのシチュエーションは美しく、舞台の上でも感動的でした。
image1 (4).JPG昨年と同じ踊り手メンバーが奇跡的に揃い、それぞれがバラバラにグラナダに集まり、この日に向けて準備をしてきました。環境が日本と違い、様々なサバイバルステージを昨年は経験し(笑)みんなで協力して、その場その場で判断したステージ作りをしてきたので、そのチームワークはバッチリ!カンテも昨年共演したGalli 、Manuel Tañeということで、エミリオから力をもらい、4人とも全力でこの舞台を駆け巡ったような気がします。
客席で観ていた、プロジェクトマネージャーの片山友紀さんのレポートでは、
「観客からは拍手が絶えず、観ていて自分のことのように嬉しかったし、Emilio Maya Cortes, Manuel Tañe, Galliの3人の素晴らしいミュージシャンが最高に盛り上げて、本当に本当に素敵な舞台でした」と語ってくれました。
image1 (2).JPG最後のfin de fiestaはJavier Herediaがセビージャからこのために駆けつけてくれてブレリアで盛り上げてくれ、日本にも沢山のファンがいる Ivan Vargas Heredia, Alba Herediaの地元のフラメンコのスター達も観客で沢山応援してくれて、最後には気持ちよく舞台に出て裸足で野生動物のようなキレッキレの踊りを見せてくれました。
今、振り返ると「おとぎ話」のような夢の一夜でした。
アーティストが集まると大変なことは沢山ありますが、私自身は「出来る人が、出来る時に、やれることをやる」そんなスタンスでこのSAKURAは進んできたような気がします。
日本だけでなく、スペインでこんなに素敵な架け橋を、有言実行してくれるエミリオという大監督。この道を切り開いたら、それが末長く続き「継続」し「未来」へのフラメンコの人達に繋ぎ、バトンを渡していける、そんなプロジェクトになるよう、これからも頭と身体を駆使し考えすすめていきます。
来年に向けては、どんどんこのプロジェクトに共感してくれる仲間を増やし、多くの協力者を得て、羽ばたけるといいなぁと思います。
「SAKURA1プロジェクト起動!」どうぞみなさん、注目してください!
IMG_1821 (2).JPG■プロデューサー エミリオ・マジャからのメッセージ(訳:片山友紀)
2013、3年前から日本に住み始めましたが、日本人の踊り手たちについて一番感動するのは、皆さんがフラメンコを本当に大好きだということです。
この3年間というもの、日本のフラメンコ界で、高い芸術性とフラメンコ性、そしてフラメンコに全身全霊を捧げている素晴らしい踊り手たちを見てきました。それで私は、フラメンコに国境はない、大切なのはフラメンコに対する愛、それがフラメンコを世界的なものにするのだということを実際にスペイン人に観て信じてもらうため、いつかこの踊り手さんたちをスペインに連れて行かなくてはいけないと、心に決めたのです。
そして昨2014年、ついに私の、そして彼女たちにとってもの夢が実現しました。
日本人の踊り手であるが故に、他の国、この場合フラメンコ発祥の地スペインで、スペイン人の芸術を彼女たちが踊るというのは、時に難しいことです。しかし、本物のフラメンコでよい踊り手ならば、世界中のどこででも踊れるのだということを示す動機とよい見本が私にはあります。
2014~2015:私の構想が実現し、グラナダの3カ所で公演を行うことができました。
このプロジェクトは始まったばかりですが、昨年のSAKURAフラメンカの踊りを観たコラル・デル・カルボンの主催者が、今年の夏のフェスティバルでSAKURAプロジェクトの公演を行うことにつき快諾してくれたのです。
現地紙もSAKURAフラメンカを写真入りで取り上げたり、公演を見た多くのスペイン人から「日本人もスペイン人と同じくらい踊れるんですね!」と賞賛のコメントを頂きました。フラメンコに対する敬意と愛があり、精進すれば、フラメンコに国境はないのだということを観た方々には分かってもらえたという手応えがありました。
コラル・デル・カルボンといえば、スペイン人でも一流の人気のアーティストしか出演できない、グラナダの夏のフラメンコ・イベントでは重要な場所です。
今年、コラル・デル・カルボンで公演を行えたことはSAKURAプロジェクトにとって、非常に大きいと思います。
大きなスポンサーもなく外国でプロジェクトを実現するのは難しいことですが、今年は活動を賛同いただく支援者の方、SAKURAのメンバーの協力で実現することができました。
これからも少しずつでもこのプロジェクトを進めていきたいと考えています。
 
image1 (3).JPG■プロデュース補佐・踊り手リーダー 浅見純子からのメッセージ
2014年「SAKURA FLAMENCA」として3ヶ所の公演を経験し、私たち自身も公演直後のスペイン人の共演アーティスト、また観客の皆さまの反応や感想を受け、とても熱い思いを感じました。
この構想をエミリオから聞かされ、2013年8月アルムニェカル市 エル・マフエロ公園内ステージで私自身、舞台を経験させてもらいました。
3年目の今夏、また継続して日本人のフラメンコをスペインで観ていただくことができたことを、エミリオほか関係者の皆さんに感謝したいです。
このプロジェクトの立ち上げから、エミリオの実現していきたい"夢"に賛同し、プロデュースを手伝ってきました。
エミリオ自身のフラメンコの世界での経験や実績、また人間性の素晴らしさ、信頼性は、踊りはもとより、日本のフラメンコ界の歌い手、ギターリスト...エミリオに触れた多くの人達が彼の魅力に惹きつけられ、学びたい、と思っているのではないかと思います。
エミリオから溢れでるアイデアをどのように表現していくのか、沢山のミーティングを重ねこの企画が実現しました。
日本との懸け橋となるエミリオの構想は、今後も「日本のフラメンコ界」を活性化させ、フラメンコに携わる人に夢を与え続けてくれるものだと思います。
                          
 

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