【特別篇】ワールドワイドな浮浪者

 筆者は堀越千秋さんと空港で遭遇する奇縁がある。何年か前は福岡空港の搭乗口前の土産物売り場で。「ドローレス見に来たの?」とは開口一番堀越さん。その時は博多でドローレス・アグヘータのコンサートがあったらしい。筆者はフラメンコとは全然別の仕事で出張していた。

その前は成田空港行きの京成スカイライナーのホームで。
「あ、堀越さん」
「やあ、元気かい」
「これからスペインですか?」
「そうだよ」
 筆者もスペインへ取材に行くさなか、発車間際の短い会話だったのだが、その時の堀越さんの持ち物が今も忘れられない。
 堀越さんが何気なく手にしていたのは、よく100円ショップなどで売っている、透明なビニール製のチャックが付いた小物入れ。いろんな紙やらメモなどが一緒くたに詰め込んであるのが、透けて見える。それを無造作に、むき出しのまま持っているのである。
 私はそれを見た途端、確信した。
「この人は、ホンモノの浮浪者(=バガボンド)だ!!」と。
 近所の戸山公園には多くの浮浪者が住んでいる。で、その人たちがほとんど同じものを持っているのを、何回も見たことがあるのだ。かくいう筆者もバックパックを担いでスペインや南米をぶらついていたとき、メモや紙幣、小銭入れにそれを使っていた。実際、水濡れを防ぐのに重宝する。いわばワールドワイドな浮浪者御用達の一品なのだ。
 堀越さんは日本とスペインを行ったり来たり、最近は山の中にこもって仙人暮らし、と言うウワサを聞いている。何しろ一瞬姿を見かけても、すぐにいなくなってしまうのが、堀越さん。この夏の新人公演でもあっという間に姿を消していた。さすがである。
 そんな神出鬼没・インターナショナルな、自称"山乞食"、堀越さんをつかまえて、カンテについて語ってもらおうという企画。光栄なことに筆者が聞き手に選ばれて、今から策を練っていますが、一体どうなることやら。が、面白くなるのは間違いないでしょう。当日は純米大吟醸「El Chiaki」もあるそうです。乞うご期待!

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