知る人ぞ知るプーロなカンタオール、ハイメ・エル・パロンJaime Heredia"El Parrón"イベリアの招聘で来日していますのでご存知の方も多いことと思います。あのしわがれ声でアイ~アイ~などと歌われたらたまらない!そんなフラメンコファンも多いです。彼の2枚目のCDが昨年9月に発売されましたが、やっと日本上陸しました。カルボン・デ・フラグアCarbón de fragua 粋な現代のフラグエーロにめかし込んで撮った写真のジャケットは、ちょっとなんだか普段のハイメから想像できないけど、とても微笑ましい!グラナダでは地元有力紙IDEALとタイアップ。新聞を買うとCDが特別価格で購入できるというサービス。だいぶ売れたようです。
ハイメ=ソレアですが、勿論ブレリアもいいですよ。グラナダでは貴重な存在です。CD内容はいつものようにカンテ・プーロの他、イーダ・イ・ブエルタのビダリータなんかもしっとり歌っているのが面白いと言えないこともないですが、あなたの感想は?先ずは聴いていただかないと。そういうことでハイメはこのところCD発売のプレゼンテーションであちこちに出向いています。セビージャのビエナールにも出演しました。テレビ(カナル・スール)にも出演。ですから乗っています。
グランダでは昨年9月にCD発売のプレゼンテーションが中心街に新しくできたガルシア・ロルカ劇場であり、クーロ・アルバイシンの司会で始まりました。CDでも弾いているディエゴ・モラーオ(ヘレス)やカディスからやって来たパルメーロスなどが参加し、アントニオ・カナーレスが友情出演し、タンゴやソレアを踊るなどで会場が湧きあがり、幅広いアーティスト同士の交流、繋がりが窺われ、最後にはなんとお母さんのロチーナROCHINAさん(87歳)が舞台に上がり、朗々とブレリアを歌いだすという、とってもファミリーで温かい舞台を観ることができました。何と言っても娘のマリーナ・エレディアが付いています。マリーナはアーティストとしてのお父さんをとても尊敬しているのです。マリーナが華を添えてくれて更に盛り上がりました。オレ!
終わってから会場の隣にある
ハイメの息子経営のバル「ソロンゴ」で一杯、2杯......
パロンファミリー、アミーゴで埋まったバルで
楽しく過ごした一夜でした。
また来日して欲しいですね!
※これは昨年9月の「カチューチャ便り」として書いたままアップする機会を逃していました。今回日本発売にあたり遅ればせながらアップします。CDのお求めはアクースティカで!
エル・ペタコでレマーテ!レクチャー&フラメンコ体験レッスン(シードル試飲付き)2/22
渋谷のアップリンクで開催されたこの企画は面白いと思いました。シードルが飲めるっていうのがいいですね!告知がかなり直前だったのがちょっと残念でしたが、駆け付けた皆さんは満足げにお帰りになられたようでホッとしました。
最初に映画に関連したサクロモンテのお話などをしましたが、まじめなお話は苦手な私です。突然の思い付きで、「今日はペタコを踊りましょう!」などと予告してしまったのでした。体験レッスンは誰でもできるフラメンコ入門講座みたいなものでしたが、一応パルマや唄でタンゴのリズムをつかんでいただき、ブラッソ、サパテアード、表現のコツなど色々なテクニックを短時間でざっとやりましてほぼ完璧なレッスン!皆さん積極的に動いてくださるのでビックリしました。全然恥ずかしがらないのです。こちらもやりがいがあり、楽しい時間を過ごしました。
実はこのような体験講習会は以前も何回かやったことがありますけど、こういう事って私に向いているように思いました。嫌いじゃないです。
フラメンコショーで踊る時のように一方的ではなく、皆さんの反応を見ながらやって行くので集中し、時々スリルがあります。とにかく分ってもらいたい、愉しんでもらいたいのでこちらも必死になったりしますが、そういう時の瞬間的に出るアドリブが功を奏したりすることが多いです。
まぁ逆のケースもありますが、とにかくフィナーレは最初に予告した、映画でクキおばさんやクーロさんが踊っている「エル・ペタコ」を歌って踊って、皆さんにお腹ポコポコ揺らしてもらって盛り上がりました!
ちょっとどんな様子だったかお伝えしますね。
レクチャーということで、ちょっと緊張気味ではありましたが、ざっとグラナダの歴史的な事を混ぜてサクロモンテのフラメンコ、アーティストのことなど思いつくままつらつらと。皆さん、静かに聴いてくださっていましたが、話がリズムのことになると実際動いてみなくちゃ!ということで、さぁ、レッスン!
先ずは姿勢やブラッソ、手の動きなどいろいろ教えちゃいました!殆どの方が全く初体験と思いきや、中にはすんなりやってしまう方もいまして、思わず「よくおできになりますわね、やってらっしゃるの?」そして、ちょっと一段階上のアドバイスが出たりもしましたよ!
Los gitanos son primores~タンゴ歌を歌いながらマルカールなど。
時々みんなの様子を見て、ちゃんとできてるかなぁ~ あれ?サパテアード忘れていました!この後ちょっとタカタカタッと。そして簡単なタンゴの振付ができました!
さぁ、声あげましょう!パルマ叩いてハレオの練習、アルサ・イ・トマ! アラー!いや~しかし皆さん、大声でますね、いい調子!
(因みにハレオの練習はシティオ塾の「伝統的スタイルのクアドロ実践講座」でもやりますよ!)
最後に全部通しておさらい、マフラーを振り回してフィナーレ。男の方は上着の裾をパラパラ動かしてみては?と提案、ウケました!
さて、最後は約束のペタコ! ちょっとくだけた気分。お腹はなかなかうまく持ち上がりませんで。。。やっぱりこんな楽しいタンゴを生み出したサクロモンテは一種独特です。サクロモンテ、そこの人々にはいろいろ勉強させてもらったけど、彼らのグラシアって時々たまらなく愛おしくなります。
終わった後は「フー!」ひと汗かいてやれやれって感じでしたが、こうして1時間のレクチャー&体験レッスンはあっという間に終わりました。でも充実した1時間、私も十分楽しませていただきました。またの機会を期待しちゃいます!
アッ、それはそうとシードルを飲み忘れていました!帰りがけに1本おねだりして、お土産付きの帰宅。後日冷して飲んだら実にエキゾチックな味がしました。ありがとうございました!
皆さん!「サクロモンテの丘」東京近辺の方はもうご覧になった方も多いと思いますが、いかがでしたでしょうか?
アンダルシアのプエブロ(村)にそれぞれの素朴なフラメンコがあってそれは興味深い世界なのでありますが、そんな風にサクロモンテも1つの村と考えると、日本ではあまり知られていないサクロモンテのかなり土着的なフラメンコの世界がこの映画で観ることができますよね。
登場人物は日本ではあまり知られていないアーティストが殆んどだと思います。アーティストというより芸人さんと言った方が私には近いイメージですが、中にはアルテ、フラメンコ特有の芸術性を持っている方も多い。彼らがこの映画で紹介されて、皆さんは「へぇ~、こんな人達がいるんだ」という感じで興味深々観ているのではないかな、そんな風に想像しています。
私はわたしで彼らとは長い付き合いですし、遠く離れた日本の、しかも映画館の大きなスクリーンで彼らの演技をあらためて観るとちょっと感慨深いものがあります。この映画とはまた別のスクリーンが目の前にチラつき始めます。ああ!全くあと10年早くこういう映画ができていたらなぁ~、今は亡きアーティストさん達が目の前に浮かんできて寂しい限りです。実は登場人物の中の3人は撮影後に他界していらっしゃいますので、これはとても残念なことです。でも少なくとも、この映画に彼らの貴重な演技、お話しが遺され、今こうして日本で見られることになるなんて嬉しいことですね。
ご覧になった一般の方には、それなりに良かったけれどやはりそれがそれだけで終わってしまう、というような温度差がある...などと頷けるような感想もありますが、フラメンコをやっている方々、ファンの方々には現代の洗練されたフラメンコとは違う古の雰囲気みたいなもの、豊富なタンゴ歌などに感動し、良かった!と喜んでくださっている方が多いようです。両者共通して、あのあからさまな会話の世界にはビックリしたようです。
とはいっても、一回見ただけではよくわからないということで、もう一度じっくり観たいという方が多いようです。東京、千葉で封切られて2週間が過ぎ、スバル座の上映は終了しましたが渋谷のアップリンクで4月上旬ぐらいまでは上映するようです。もう一度ご覧になりたい方は是非どうぞ。地方では順次公開されていきます。
とにもかくにも日本フラメンコ界に旋風を巻き起こした「サクロモンテの丘」、私もこの映画の公開に協力させていただけて嬉しく思っています。私を信頼してくださったアップリンク、ピカフイルムさんには感謝しています。東京での公開記念イベントに出演させていただきまして、映画館の公開イベントで踊るなんて初めてですのでステキな思い出になりました。それでは盛況だった公開イベント、私の体験レポートをお届します。
有楽町スバル座18日(初日)
公開に当たり、この映画の監督チュス・グティエレスさんが来日しました。彼女はグラナダ生まれですが8歳ぐらいの時には家族そろってマドリッドに移住しました。彼女がフィエスタで知り合ったこの映画の案内役、クーロ・アルバイシンに惚れこみ、グラナダに行くところからこの映画は始まりますね。初日イベントは彼女のご挨拶で始まりました。チュスさんは赤いセーターに黒のパンタロンというラフなスタイルで登場。とにかく今作らないと生き証人がいなくなってしまう、サクロモンテの歴史も文化も、特にサクロモンテの失われた音楽舞踊芸術「サンブラ」の黄金時代を知る、語れる世代のアーティストが日に日に減って行くなかで、大変だったけどこの映画を作れてよかったと語っていらっしゃいました。
さて私の出番となりました。初日ということで「グラナダを踊ろう!」ということに決めていましたが、一般のお客さんも多いということで、カスタネットでファンダンゴ・デ・アルバイシン、タンゴの初めにはタンバリンをちょっと叩いて雰囲気作りに専念。なんとか初日らしい典型的なグラナダを味わっていただけたのではないかと思います。ですが映画館のスクリーン前の奥行90㎝ぐらいの細長い舞台でしたのでとっても怖かったですね、転落は免れましたが(笑い)。最前列でご覧になっていたチュス監督もあの狭いところでよく踊った、グラナダ色豊かな踊りで楽しかったとニコニコ顔、わざわざ舞台に上がりマイクで「2倍にOLEオレ!だ」と褒めてくださったのにはちょっとビックリしましたが、同郷のよしみでしょうか、私にとっては嬉しいこと、ホッとしました。
有楽町スバル座26日
19日にもチュス監督のご挨拶とフラメンコショーがありましたが、第2週目のこの日は小島章司先生をお招きしてお話しを伺い、その後は私と他2人のバイラオーラ(浅見純子さん、正路あすかさん)によるフラメンコショーという内容でした。満員御礼で、会場に入れない方も続出したそうです。やはり沢山のアーティストが出る方が見る人は楽しいでしょう。小島先生はその夜ヘレスに出発なさるというお忙しい中を駆けつけてくださり、ステキなイベントになりました。終始穏やかな口調でスペインに修業に行かれた時のお話しなども交えたご挨拶をしてくださいましたが、小島先生は国の文化功労者にも選ばれています。その名に恥じないオーラがありますね。
今から50年ぐらい前に「一人前になるまでは帰らない」覚悟でシベリア鉄道に乗ってスペインに修業に行かれたという先生、物凄い努力家でもいらっしゃいます。私はスペインに行く前の約4年間小島先生にお世話になっております。そして同じようにスペインで修業した訳ですが、自分のした「努力」なんて先生と比べるのもおこがましいという感じです。
お話の後はお席に座られて「さぁ観戦!」という構え?になられたので私としてはちょっと緊張しましたが、すぐに平常心を取り戻し和やかな気分、華やかなフラメンコショーも無事終わり、盛況のうちにスバル座のイベントは終了しました。(つづく)