高橋英子のスペイン、グラナダ、きもったま

フラメンコ三昧の秋(1) カニサレス他


いや~いろいろとありましたね、この秋。
何故かあちこち、故障中の足を引きずって出没することになってしまった私でした。
11月初めにセルバンテス文化センターではギターコンクールがありました。私はコンクールを
観られなかったのですが、友人が出場しましたので打ち上げに駆け付けまして、優勝者の
江戸裕さんや、外国出身のギタリストさん、地方からやってきたギタリストさん、なんと颯爽と
した女性のギタリストさんまで!皆さんと接することができました。まぁギターの世界にも
こんなに沢山頑張っている若きフラメンコの息吹たちがいるのは頼もしいものでありますね。
また、10月下旬にベテランバイラオーラ入交恒子さんの公演も観せていただき、
「純粋フラメンコ」コンサート志向の彼女にとって、新しいスタイルに挑む果敢な姿勢を
感じたりしました。日本のアーティストは本当にフラメンコを尊び、フラメンコから
元気をもらっている、日本にはなんでも挑戦できる自由な雰囲気がある、などと思いました。
その他、私の観たこの秋のイベントや公演を振り返ってみたくなりました。
ちょっと何回かに分けて書いてみます。雰囲気が伝わると嬉しいです。
今、ギタリストのカニサレスがコンサートで来日中ですので彼のトーク・イベントから!


フォアン・マヌエル・カニサレスのコンサート直前トーク・イベント(12/1)

canizares folleto.png実はもう随分と昔のことですが、
トマティートに偶然会ったのでインタビュー?(笑い)した時に
パコ・デ・ルシア以外に好きなギタリストはいるのと
聞いたら、「カニサレス!」って二つ返事でして、
どんなアーティストかなって気になっていましたが、

それから20年以上も彼の演奏をじっくり聞く機会も、会う機会もなかった私なのです。
今回のコンサートも残念ながら、ちょっと行けるかどうか危ういので、このトーク・イベントに
グラナダで知り合った友人を誘って参加しました。小さな会場で、ワイン、ビールなどの
ワンドリンクのサービスもあり、ファミリーな雰囲気になりそうなカンジ。
たっぷりお話しを聞けそう、ワクワク!おまけにギターも弾いてくれるということなのです。
ただ、会場ではフラメンコ関係の知った顔が少なく、いったいここにいる人達どこから来たの?
そんな感じでありました。どうも一般のクラシックギターファンが多かったようです。
だからでしょうか?なんだかちょっとわたしには想定外の内容でありました。

[写真]会場の雰囲気
canizares sala.JPGのサムネイル画像今のカニサレスはクラシック、ジャズ他、
フラメンコだけでなくジャンルを超えた音楽シーンでも
活躍しているようです。ベルリン・フィルの招待を受け、アランフェス協奏曲を演奏したり、因みに
この仕事のために1日10時間の練習を4ヶ月続けたと言っていましたよ、凄いですね!
また、アルベニス、グラナドスなどの曲を彼なりに
アレンジしてギター演奏し、それがいいのだそうです。
これはCDで聴いてみたいです。また、スペインのレコードアカデミー賞を受賞したりしている。
最近ではこの11月にグラナダでマヌエル・デ・ファジャの音楽を演奏したということです。
残念!今、日本にいるわたしは見逃しました。

先ずは、カニサレスのお話を交えながら、その生い立ちを、スクリーンを使って写真などで紹介。
勿論通訳付き。13歳の時パコ・デ・ルシアのコンサートを見に行って、終了後楽屋でパコに
挨拶するために順番待ちし、会ったらいきなりパコの目の前で2曲演奏し、それが縁で
後にパコから電話があり、パコのツアーに参加することになったとか、14歳で義務教育を終えた時、これからはギターでやって行くという選択肢をした頃のグアヒーラの演奏テープを聴かせて
くれたりして「今よりうまい!」なんで照れてみたり......あっという間に第一部終了。

canizares3.pngのサムネイル画像休憩の時に思い出写真の撮影許可があり、
みんな順番に並んでいましたので私も並びましたよ!
ちょっとお話がしたかったのです。でも、グラナダにも親戚がいるとか、
またエンリケ・モレンテとは親交があったとかの2,3しか話せず、
次の人が待っているんで落ち着かず、早目に切り上げました。


さぁ、第2部が始まりました。でもなんと、それはフラメンコ講座だったんですよ。
初心者に戻って、今では考えたこともないフラメンコの基本を再勉強するに至りました。
でも、司会の人達がちゃんと説明していましたよ!準備も大変だったでしょう。
フラメンコの特殊なリズム、そしてコンパスなどの説明と、実際にブレリアのパルマを
叩いてみたり、カニサレスも弾いてくれまして、会場の人達は充実した時間を過ごせたようです。
友だちもよくわかったと喜んでいました。最後に待ちに待った生演奏!
自由で情感こもったテーマとブレリアを弾いてくださいました。みんなうっとり。
しかし、この2時間半ぐらいの長いイベント、本当にお疲れさま!
終わってからもまだまだサインだの写真だのの人だかり。アーティストも楽じゃないです。
わたしは久しぶりに会った友人とお先に失礼とあいなりました。

日本公演、ステキなコンサートになりますように!

(続く)
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高橋英子 プロフィール

フラメンコ舞踊家。スペインに暮らしながら、現地での舞台活動を重ねてきた貴重な存在。81年渡西。83年、セビージャでセビジャーナスコンクールに入賞し話題を撒く。翌年、グラナダを代表する踊り手マリキージャのアカデミーに招かれてセビジャーナスのクラスを開講。以来グラナダに住み、フェスティバルやタブラオ、ペーニャ等に出演。リサイタルも度々開催している。98年にはスタジオ「ラ・カチューチャ」を開設した。一方日本では、ペヌルティモ・コンサートシリーズ、「きもったま鍋」シリーズなどを上演。フラメンコ舞踊独特のペソ(重さ)とコラヘ(怒り、内に秘めた激情)、そして粋なグラシア(愛嬌)に溢れたバイレは高い評価と人気を得ている。現在は日本でも常設クラスを開講し、日西を行き来しながら精力的に活動を続けている。
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