高橋英子のスペイン、グラナダ、きもったま

映画「サクロモンテの丘」いよいよ(2/18)封切です!


皆さん、昨年12月からの試写会で日本のフラメンコファン、アーティストの間で評判の映画「サクロモンテの丘」が今週末にいよいよ一般公開されます。楽しみですね!なにせ私の第2の故郷なんですから、黙っている訳にはいきませんで筆を取りました。配給元アップリンクのこの映画のホームページにフラメンコアーティストや芸能人から寄せられたコメントが掲載されています。読んでみるとうなづけることばかり、ステキなコメントがいっぱいです。グラナダのサクロモンテ地区、下の写真はサクロモンテ遠景、外から見るとサクロモンテには何か特殊な人々が住んでいるような印象があるかもしれませんね? サクロモンテ族とでもいうような。。。
Sacromonte gaikann.png

グラナダの人々は、復活祭(セマナ・サンタ)でロマ(ヒターノ)の行列のある日や、グラナダの守護神サン・セシリオの巡礼祭などのある時はサクロモンテに登る習慣がありますが、一般的にヒターノを良く思わない人が多いので、ヒターノが多く住むサクロモンテに好んで足を向ける人は多くありません。私も、普段は物騒だからあまり行かない方がいい、などとグラナダ人によく言われました。しかしそれは作られた妄想で実際とは異なります。以前はサクロモンテを特別視し、そこに住む人達を敬遠する傾向が強く、中にはわざわざサクロモンテに行って悪さをしたり、サクロモンテでちょっとあった喧嘩騒ぎを大袈裟に取り上げて誇大悪評を掲げたりなどの悲しい現実もありました。

curro cuqui.jpgもともとサクロモンテに住む人達はロマ人、ロマ人でない人達も含めて皆心温かい素朴な人達でした。この映画ではサクロモンテ族といえる人たちの肉声、彼らの生い立ちや、生き方、そしてプライベートな事まで楽しいエピソードも交えて大らかに語る姿を見ることができます。そういう彼らの言葉に勝るものはありません。「サクロモンテの丘」と題されてはいますが、この映画の本タイトルはLOS SABIOS DE LA TRIBU ロス・サビオス・デ・ラ・トゥリブといいます。小島章司先生が、「部族の賢者たち」と訳して彼らのことを語っていらっしゃいますが、彼らの生き様には学ぶところがあると思います。サクロモンテ出身のアーティスト、芸人だった人達の普段の姿を通して、彼らの半生や日常の姿を垣間見ることができるのは日本の皆さんにとってとても興味深いことではないでしょうか。彼らなりのユーモア、愛嬌のある世界がありますよね。そしてこの映画では、同時に彼らや現在サクロモンテと縁のあるアーティスト達の演技も見ることができるのでフラメンコファンには嬉しいことだと思います。

niña sacromonte.pngさて、私はグラナダ在住33年であります。私がグラナダに住み始めたのは、この映画でも取り上げているサクロモンテの大洪水で、サクロモンテが壊滅状態となってから20年近くの年月が経っていた頃でした。あの頃のサクロモンテメイン通り(カミーノ・デル・モンテ)には、確か洞窟フラメンコショーをやっていたクエバ(洞窟)は4つぐらい、ディスコが1つ、レストランが1つ、小さなクエバのバルが数ヶ所にあったくらいだったと思います。クエバにはすぐ隣のアルバイシン地区や、洪水後に移り住んだ地区から芸人さん達がサクロモンテに通ってきていました。まだ復興が充分でなく、ちょっと寂しいとも言えましたが、今より沢山のアーティストファミリーがサクロモンテに住んでいまして、それなりの雰囲気が少し残っていました。そんなサクロモンテで小さなクエバを借り、私は練習に通っていたのです。わたしと「サクロモンテ族」との出会いの経緯は映画のパンフレットにも書きましたので是非お読みくださいね。

eventofolleto.png私にとってはグラナダ=サクロモンテと言えるくらい、フラメンコ修業でサクロモンテから受けた影響は大きいですし、「サクロモンテ族」とは長い長い付き合いになるのです。私にとってこの映画はノスタルジーの塊という訳です。ですから、「サクロモンテの丘」が公開されるにあたり、皆さまに日本では知られていないサクロモンテ族アーティスト達の貴重な映像とグラナダの古のフラメンコの、その一片でも見ていただけるのは嬉しいことであります。

さて、2月18日、19日、26日にスバル座で公開イベントがあります。18日公開初日にはチュス・グティエレス監督の挨拶と、私のライブパフィーマンス(グラナダを踊る)があります。
今週末は有楽町で逢いましょう!

さらに、ロードショー期間中プレゼントキャンペーンとか試飲イベントなど色々楽しい企画もあり、なんだか盛り上がって来ています!皆さん是非、有楽町スバル座、アップリンク渋谷に足をお運びくださいね!


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高橋英子 プロフィール

フラメンコ舞踊家。スペインに暮らしながら、現地での舞台活動を重ねてきた貴重な存在。81年渡西。83年、セビージャでセビジャーナスコンクールに入賞し話題を撒く。翌年、グラナダを代表する踊り手マリキージャのアカデミーに招かれてセビジャーナスのクラスを開講。以来グラナダに住み、フェスティバルやタブラオ、ペーニャ等に出演。リサイタルも度々開催している。98年にはスタジオ「ラ・カチューチャ」を開設した。一方日本では、ペヌルティモ・コンサートシリーズ、「きもったま鍋」シリーズなどを上演。フラメンコ舞踊独特のペソ(重さ)とコラヘ(怒り、内に秘めた激情)、そして粋なグラシア(愛嬌)に溢れたバイレは高い評価と人気を得ている。現在は日本でも常設クラスを開講し、日西を行き来しながら精力的に活動を続けている。
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