高橋英子のスペイン、グラナダ、きもったま

フラメンコのモニュメント、十字架祭、体験レッスンなど


4月、5月のアンダルシアはフェリア(春祭り)が各地であります。セマナ・サンタ(聖週間)が終わって2週間後に、セビージャではフェリア・デ・アブリルが始まります。毎年同じ日程ではないのですが4月中旬から5月初旬になります。アブリルは4月のことですが、今年は5月になってから始まり、天気も良く、とっても暑い、熱~いフェリアだったみたいです。5月の初めはコルドバのパティオ祭があります。パティオ(中庭)の壁一面の植木の花がとっても綺麗で見応えあります。そしてへレスではフェリア・デル・カバージョが始まります。カバージョは馬のことです。フェリアでは街に馬車が現れ、乗馬を楽しむ人も見られますが、へレスは馬の産地で馬術学校などもあるそうです。豪華な馬術ショーもこの時期にはみられるのでしょう。フェリア会場ではセビジャーナスばかりでなく、やはりブレリアも、でしょうか。スペインに来るならこの時期はお勧めです。

cruces de mayoさて、3日に十字架祭(Cruces de mayo)というのがあります。グラナダの十字架祭は盛大なのですよ!季節柄、花が咲き誇るなか、街には馬車が現れ、女性はトラッヘ・ヒターナ(フェリア用フラメンコ衣装)を着込んで街がとっても華やかになります。そしてみんながセビジャーナスを踊ります!仮設舞台でも郷土舞踊やフラメンコをやっています。そして、毎年「十字架の飾りつけコンクール」があり、私はこれを見て歩くのが好きで、この日はあちこちと20,000歩ぐらい歩いてしまいました。

またグラナダには珍しく、十字架祭のプレゴン(開会式のようなもの)や飾り付けコンクールの表彰式の後になんとセビジャーナスのショーがあるというので、半信半疑見に行きましたら、本当にセビジャーナスばかりやっていました。そしてカントーレス・デ・イスパリ(下の写真)という人気グループが最後に出演したのです。
cantores de hispaliテレビではお馴染みのセビジャーナスグループですが実演を見るのは初めて!わざわざセビジャーナスのショ―を見に行くことなんてありませんが、この日はお祭りついで。
雰囲気が盛り上がり、私も楽しめました!
ちょっと、真昼間で人が少なめだったけど、グラナダの女性セビジャーナスグループなんかも登場し、
Yo quiero un nobio
Que sea apañao~~
タララン、タラララララン、タララ 
彼氏が欲しいけど、しっかりした人じゃないと~などと、可愛いセビジャーナスを歌っていました!

フラメンコのモニュ メントところで、セビジャーナスの会場の近くにフラメンコのモニュメントが昨年秋にできましたので、写真を撮って来ました。
凄くでっかいです!
高さが5メートルぐらいはありますね。
このモニュメントは1922年にマヌエル・デ・ファジャ、フェデリコ・ガルシア・ロルカ他の音楽家、画家や知識人が動いて実現したカンテ・ホンドのコンクールを記念したもののようです。
1922年6月にあったカンテ・ホンドのコンクールは、アルハンブラ宮殿のアルヒべの庭で行われ、コルドバ県プエンテ・へニルから歩いてやって来たというモロン出身のテナサTenazasと当時まだ少年だったマノロ・カラコールが優勝しました。審査員がアントニオ・チャコン、マヌエル・トーレ、二―ニャ・デ・ロス・ぺイネスとそうそうたるメンバーで、他にフェスティバルもあり、懐かしいアーティストが沢山出演したようです。フラメンコ史上に残るイベントだったと言われています。今年の夏のヘネラリッフェ野外劇場ではこのコンクールを題材にしたラファエラ・カラスコの作品が1ヶ月に渡って上演されます。      

このモニュメントですが、何故かフラメンコ関係者にはあまり評判よくないです。ケチを付けたがるのは人間の本性?上部のブロンズ像は歌い手とギタリスト、そしてバイラオーラのようですが、特定のアーティストではなく、イメージみたいで、うまくできてないだの、おかしいなどとブツブツ......気に入らない理由の一つみたいです。フラメンコが世界無形遺産になり、さかんになって来ているとはいえ、下々では経済危機で不満もあるのでしょう。確かにカンテ・ホンドのコンクールは素晴らしかったのだから、どうせ作るなら、もう少しセンスがいいデザインにして欲しかったな、考えようによっては、ただ「見栄を張ったグラナダ市」と思わせるような巨大なモニュメントで終わってしまった感もあってちょっと残念ではありますが、どうでしょう?

★十字架祭、銅像のことは、ホームページ「おもいで写真館」で紹介していますので是非ご覧ください。
http://www.ecoflamenco.com/foto1006.html

フラメンコ入門講座の風景さて、こんな時期に我がスタジオに訪問客がやってきました!ゴールデン・ウィークの休暇中の若者3人で、急に思い立ってフラメンコ体験レッスンがしたくなったと言います。慌てて久しぶりの入門講座を準備。
みんなも衣装をどこからか借りて来てやる気満々、記念写真のポーズから始まって、リズムや簡単なルンバとブレリアの振りを短時間で覚えてもらいました。
なかなか筋がいいのでびっくり。若いっていいなぁ~


  • Yahoo!ブックマークに登録する
  • はてなブックマークに登録する
  • livedoorクリップに登録する
  • FC2ブックマークに登録する
  • Buzzurlブックマークに登録する
  • del.icio.usブックマークに登録する
  • ニフティクリップに登録する

高橋英子 プロフィール

フラメンコ舞踊家。スペインに暮らしながら、現地での舞台活動を重ねてきた貴重な存在。81年渡西。83年、セビージャでセビジャーナスコンクールに入賞し話題を撒く。翌年、グラナダを代表する踊り手マリキージャのアカデミーに招かれてセビジャーナスのクラスを開講。以来グラナダに住み、フェスティバルやタブラオ、ペーニャ等に出演。リサイタルも度々開催している。98年にはスタジオ「ラ・カチューチャ」を開設した。一方日本では、ペヌルティモ・コンサートシリーズ、「きもったま鍋」シリーズなどを上演。フラメンコ舞踊独特のペソ(重さ)とコラヘ(怒り、内に秘めた激情)、そして粋なグラシア(愛嬌)に溢れたバイレは高い評価と人気を得ている。現在は日本でも常設クラスを開講し、日西を行き来しながら精力的に活動を続けている。
関連記事
  1. 70年の歴史、ペーニャ・ラ・プラテリアPeña la Platería②
    今年は歩きだして70年、70アニーバーサリー、プラテリアにとっては嬉しい1年です。6月14日には記念フェスティバル<strong>"Fiesta 70 Aniversario" </strong>が、Auditorio Manuel de Fallaマヌエル・デ・ファジャコンサートホールで開催されました。グラナダのフラメンコ界を担っていく期待の...
  2. 70年の歴史、ペーニャ・ラ・プラテリア Peña la Platería①
    日本でもフラメンコ通、愛好家たちは沢山いますね。カンテファンも年々増加してそういう人達が集まるペーニャという会が存在しますが、本場スペインでは流石に沢山のペーニャが存在し、
  3. LORCAロルカ、もっと知りたい、踊りたい
    毎年夏7月下旬から8月末まで、グラナダのアルハンブラ宮殿内のヘネラリッフェ野外劇場で「ロルカとグラナダ」という、主にフェデリコ・ガルシア・ロルカの詩や戯曲をテーマにした作品の公演があることを前回のブログでお伝えしました。毎年新しい内容で、いいアーティストも出演しますので毎回楽しみにしてはいるものの、私自身は
  4. グラナダ夏のフラメンコinfo. 野外のステキな公演
    とっても暑ーい夏ですね! 連日の猛暑、まだ7月なのに40度を超えちゃいました。西日本大雨の被災地では復旧作業もこの暑さでは本当に大変なことと思います。心からお見舞い申し上げます。 さて、グラナダも連日かんかん照りでみんな干上がっていることでしょう。
  5. 意欲を燃やすパロン!2枚目のCD発売
    知る人ぞ知るプーロなカンタオール、ハイメ・エル・パロンJaime Heredia"El Parrón"イベリアの招聘で来日していますのでご存知の方も多いことと思います。あのしわがれ声でアイ~アイ~などと歌われたらたまらない!そんなフラメンコファンも多いです。彼の2枚目のCDが発売され