高橋英子のスペイン、グラナダ、きもったま

グラナダ夏のフラメンコinfo. 野外のステキな公演

 
とっても暑ーい夏ですね!
連日の猛暑、まだ7月なのに40度を超えちゃいました。西日本大雨の被災地では復旧作業もこの暑さでは本当に大変なことと思います。心からお見舞い申し上げます。

さて、グラナダも連日かんかん照りでみんな干上がっていることでしょう。
でもアンダルシアのいいところは湿気がないことで、カラッとしている、これは大きな違いですね。温度は軽く40度以上になりますが、日陰に入れば涼しい、サクロモンテの洞窟の中なら天然のクーラーで快適! 昼間は家でおとなしくしていて、遅い夕方から夜遅くまで野外のテラスで夕涼み、ビールやティント・デ・ベラーノ(赤ワインの炭酸割りみたいなもの)などを飲みながらのおしゃべり、いいですよ! 玄関先に椅子を設置してどっかり腰を下ろしたおばさん群が扇をバタバタさせながらご近所さんと世間話...というのもアンダルシア夏の風物詩のひとつじゃないかな。そんなアンダルシアの夏、何といっても楽しみなのはカンテフェスティバルです。

これはいいです!グラナダでも郊外のプエブロ(村々)でフェスティバルがあります。バリオ(市内の地区)でもアソシアシオン・デ・ベシーノス(町会)主催の小さなフェスティバルも盛んです。ボカディージョ(食パンでないスペインパンに生ハムやチョリソ等を挟んだサンドイッチ)やワインを持参で合間にパクつけるのもいいです。何よりもカンテファンがノリノリになるのでハレオが飛び交いアーティストもリラックスしている、真夏の夜のカンテとギターは星空に響き渡ります。ただ、プエプロでのフェスティバルは終わるのが早くて2時とか3時、帰りが大変です。気の合った仲間と車でワイワイ行くのがいいですね。
夏のカンテフェスティバルはフラメンコファンには嬉しい催し物、でもグラナダはそれだけじゃありません。ちょっとおしゃれで高尚な雰囲気、そして内容もいいフラメンコの野外公演があるのでご紹介したいです。 
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ヘネラリッフェの野外劇場

グラナダの有名なフェスティバルといったら、6月~7月初にグラナダ国際音楽祭がありますね。これはもう60年以上続いているグラナダの由緒あるフェスティバルで期間は2週間ぐらい、主な会場はアルハンブラ宮殿の中の仮設会場です。クラシック音楽やクラシックバレエ、その他音楽ジャンルは色々あってフラメンコの公演も必ず2,3あり、関連公演(FEX)、講習会(Curso)等もあるのでかなり大々的です。
そしてその後、7月の後半から8月末まで1ヶ月以上も同じ出し物で続く公演があります。会場はアルハンブラ宮殿のヘネラリッフェ庭園野外劇場で、「ロルカとグラナダ」という催し物です。ロルカとはグラナダが誇る詩人で劇作家であるフェデリコ・ガルシア・ロルカです。2002年から始まって今年は第17回、グラナダならではのおススメ公演です。毎年内容が変わり、振付も舞台も斬新で、出演アーティストもいいので見逃せません、チケットもいろいろ割引料金があって嬉しいです。

lorcacd.jpgフラメンコでもロルカの詩を歌いますが、それらの詩、劇作品のこと、また、ロルカ、ロルカ風なとかをロルキアーノって言います。日本のフラメンコ界でもお馴染みで、多くのアーティストがロルカの作品を演じています。ロルカが採集したアンダルシア古謡のアンダ・ハレオやタララ等はタブラオのクアドロで歌ったりしますね。その他ソロンゴ、カフェ・デ・チニータス......etcとかも。他にマンサニータが歌って大ヒットしたベルデとか、カマロンがロルカを歌った「ラ・レジェンダ・デル・ティエンポ」などは画期的なレコードで大ヒットしました。他にもいっぱい、いっぱいロルカの作品は歌われたり、朗読されたりしているのです。沢山の有名なアーティストが歌ったロルカの作品が一度に聞けるCD「ロスヒターノス・カンタン・ア・フェデリコ・ガルシア・ロルカ」も出ていますのでそれを聴くとエー!凄い!って思ってもらえると思います。

FLAMENCOLORQUIANOフラメンコロルキアーノ(7/19~9/1)
バレエ・フラメンコ・デ・アンダルシア(舞踊団)

flamencolorquiano_0.jpgそれで今年のプログラムなんですが、ロルカの作品群をいままでの観念を打ち破った超現実的な世界で演じるみたいなのです。何だか面白そうです。昨年からバレエ・フラメンコ・デ・アンダルシアのDirector芸術監督はラファエル・エステべス。舞踊団員は、世界各国からの若き応募者200人のから選ばれた優れた若手舞踊手ばかりだそうです。この作品は彼のアイディア、それにバレリアーノ・パニョスという方が加わって振付、作り上げたそうです。なんとアルカンヘルやマリア・テレモトも参加するというので、これは凄いです!でも個人的にもっと凄いと思うのは新しい監督ラファエル・エステべス、素晴らしいアーティスト、振付師、異色です!
もう随分と前なのですが、フィエスタの仕事でこの方とご一緒した時のことを思い出します。グラナダ近郊の豪華ホテルで、プライベートなフィエスタ。他にも沢山マドリッドから若いアーティスト達が来ていてワイワイ楽しかったのですが、彼は人気者で、ちょっと学者風でした。ノートとボールペンを持ち歩いていてなんやらメモっていました。帰りのバスの中で、私がうっかり口が滑って、あの頃覚えたてだったのか、あるスラングが出てしまったのですが、そんなことまでノートに面白く書いてみんなに即発表!それで大爆笑になったので忘れません。
全く恥ずかしい話しですが、そんな思い出のあるこの方を何年か前に舞台で見る機会がありました。モダンでクラシック、目を引くアイディアとテクニック、まさに前衛的なステージでびっくりしました。秀でた才能を持つだけでなく、好奇心も強くいろいろ研究熱心、やはり普段からこういう方はどこか非凡なのですね。
そんなこともあって、私にとっては興味ある今回の公演。日本にいるので観られないですが、きっと素晴らしいでしょう。この夏グラナダにいらっしゃる方はラッキー、是非ご覧ください。

今年の公式ページ(チケットも買えます)こちら


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高橋英子 プロフィール

フラメンコ舞踊家。スペインに暮らしながら、現地での舞台活動を重ねてきた貴重な存在。81年渡西。83年、セビージャでセビジャーナスコンクールに入賞し話題を撒く。翌年、グラナダを代表する踊り手マリキージャのアカデミーに招かれてセビジャーナスのクラスを開講。以来グラナダに住み、フェスティバルやタブラオ、ペーニャ等に出演。リサイタルも度々開催している。98年にはスタジオ「ラ・カチューチャ」を開設した。一方日本では、ペヌルティモ・コンサートシリーズ、「きもったま鍋」シリーズなどを上演。フラメンコ舞踊独特のペソ(重さ)とコラヘ(怒り、内に秘めた激情)、そして粋なグラシア(愛嬌)に溢れたバイレは高い評価と人気を得ている。現在は日本でも常設クラスを開講し、日西を行き来しながら精力的に活動を続けている。
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