高橋英子のスペイン、グラナダ、きもったま

70年の歴史、ペーニャ・ラ・プラテリアPeña la Platería②


今年は歩きだして70年、70アニーバーサリー、プラテリアにとっては嬉しい1年です。6月14日には記念フェスティバル"Fiesta 70 Aniversario" が、Auditorio Manuel de Fallaマヌエル・デ・ファジャコンサートホールで開催されました。グラナダのフラメンコ界を担っていく期待のアーティストや中堅のアーティストが一同に会しました。プラテリアの70年の歩み、そのシーンを5つのパートに分けて華やかに繰り広げたそう、グラナダらしくフィン・デ・フィエスタはタンゴで、見応えあったということです。
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(Foto: Gilberto González Vázquez)

プラテリアはグラナダのアルバイシン地区にあり、その構えはとても格調高く立派です。アルバイシンならではのカルメンという大きな庭付きの家で、目の前にアルハンブラ宮殿が見えます。1階には一般の人も入れるバルやレストランがあり、アーティストの出入りも多く楽しい交流の場となっています。また、デコレーションもステキな舞台では毎週フラメンコのライブがあります。土曜日は会員向けのライブ。グラナダ内外のアーティストが自慢の演技で熱演します。木曜日には入場料を払えば一般の人も観られる「木曜フラメンコJuevesFlamenco」があります。この木曜フラメンコはとてもヒットしています。ペーニャの活動と言えば、勿論フラメンコを観る、聞く、それがやはりメインですね。時には終わってからフィエスタになったり...でもそれだけではありませんので、もうちょっと中を覗いてみたいと思います。

pedro el granaino.jpgペーニャは会員制で、会員Socioの中から選ばれた役員が運営しています。プラテリアは現在300人以上の会員がいるそうですから、実にマンモスペーニャですね! 会員になるには入会金や会費を払わなければなりませんが、それだけのメリットがあります。木曜、土曜のフラメンコライブを両方とも無料で観られますし、会員向けの催し物も楽しめます。グラナダ名物料理の食事会とか、会員の日(Dia de socio)の集いなど。それらも無料です。食事会は会員でない人でも料金を払えばOKです!(写真はペドロ・エル・グラナイーノ)

fiesta70anosフライヤープラテリアにはフラメンコ関係資料(音源、写真映像、本、プログラム、ポスター...etc)などの記録物も保管されています。それを借りて見たり聞いたりすることも可能です。ペーニャでは各種の集まり、例えばフラメンコの絵画や彫像などの美術展覧会や、本のプレゼンテーション、その他フラメンコ関係イベントなどに、その小劇場やサロンを提供したりしています。夏にはテラサ(庭)がグラナダの国際音楽祭Festival internacional Musica y Danzaの野外会場になったりもします。
また、フラメンコの講習会などを企画することもあります。スタジオは無いので、大掛かりなことはできませんが今後そのような機会もまたあることと思います。
それから、プラテリアはフラメンコだけでなく闘牛との結びつきが強く、多くの有名な闘牛士が訪れるのもチェックしたいところです。
(写真は今年の70年記念フェスティバルのポスター)


mario.jpgまたアンダルシア各州のペーニャとの交流会も不定期にやっていますので参加できます。インテルカンビオIntercambioと言います。 それはどのようなものかと言いますと、例えばヘレスのあるペーニャを訪問する場合、プラテリアのメンバーと選ばれたグラナダのアーティストが団体バスを借りてヘレスに出向きます。そして夜の宴では、プラテリア側の同行アーティストが自慢の演技をします。そして別の機会にヘレスのペーニャがグラナダのプラテリアに出向き、同じようにヘレスのアーティストが自慢の演技をするのです。アンダルシアの旅行も兼ねてのまさにフラメンコ満喫ツアーですね。
(写真はマリオ・マジャがモデルのステキな絵画、舞台のあるSalaサラ、小劇場に飾られています)


olla.jpgさていかがでしたでしょうか、こうやって覗いてみるとプラテリアって貴重な場所ですね。フラメンコを思いっきり楽しめて、たっぷり勉強できそうです。1年以上グラナダ留学する方には会員になることをお薦めしたいです。これからもスペインの由緒あるペーニャの名に恥じないような、そしてペーニャの見本となるような活動に期待したいものです。
(写真は今年1月にあった食事会 Olla de san Antonオジャ・デ・サン・アントンです。私もいただきました。)

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高橋英子 プロフィール

フラメンコ舞踊家。スペインに暮らしながら、現地での舞台活動を重ねてきた貴重な存在。81年渡西。83年、セビージャでセビジャーナスコンクールに入賞し話題を撒く。翌年、グラナダを代表する踊り手マリキージャのアカデミーに招かれてセビジャーナスのクラスを開講。以来グラナダに住み、フェスティバルやタブラオ、ペーニャ等に出演。リサイタルも度々開催している。98年にはスタジオ「ラ・カチューチャ」を開設した。一方日本では、ペヌルティモ・コンサートシリーズ、「きもったま鍋」シリーズなどを上演。フラメンコ舞踊独特のペソ(重さ)とコラヘ(怒り、内に秘めた激情)、そして粋なグラシア(愛嬌)に溢れたバイレは高い評価と人気を得ている。現在は日本でも常設クラスを開講し、日西を行き来しながら精力的に活動を続けている。
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