高橋英子のスペイン、グラナダ、きもったま

新しい息吹に期待して・・


良かった!少しいい感じにはなって来ています。
やっと唄やギターのバックアーティストとの練習が始まりました。
今色々最終的に振りをまとめています。
歌やギターを聞いて、あれこれと踊りのことを考えられるのは嬉しい。
どうまとめるか悩むところもあるけれど、考えてみれば一番充実している時でもあります。
今は欲張ってあれこれやろうと思わずに、内容を絞ってやりたいことを決めておくとか......。

実は6月中旬からにスペインに来ています。来週このグラナダで踊ります。
今回の仕事は万全な構えで行きたかった大事な仕事です。
ですが、契約書のことや、宣伝関係のこと、共演アーティストのこと、
集客のこと(今年は経済危機だか何だかでアンダルシア州からの援助がありません)等々で
あれこれ問題がありまして、このブログもなかなか更新できない状態でした。

なんでこんなにあれこれあるのか、ごちゃごちゃするのか?
頑張ろうと思っている自分に、それを阻む力がどこかで加わっているような気がしたり、
運の悪さを感じたりして、ちょっとネガティブになっていました。
せっかくの仕事なのに、頼りにしていたギタリストには頼めなくなってしまったのは、
そのなかでも一番残念なことです。ですが、そんなことでめげていてもしょうがないので、
他の人を頼んだら問題が起きて、またまた他の人を探さざるを得なくなりました。
そんな訳でとても穏やかではいられないことばかり続いています。

でもいい!決めたことだからやらなくっちゃならない。そう思ってここまで来ました。
冷静にあれこれ処理して、本番ではなんとか踊り切ろう!
幸い、今回頼んだ若手ギタリストはなんとか頑張ってくれています。
また唄い手はいつものメンバーに加え、若手の素晴らしいカンタオールを呼びました。
そのアーティストがとてもいいのです。気持ちよく踊れます。
それがなんといっても楽しみで、救いなのであります。

corral foto.png

グラナダでは6月下旬から国際音楽舞踊祭が約3週間ぐらい催されます。
この音楽祭は60年以上の歴史をもち、上演されるのはクラシック音楽、バレエなどが多いですが
フラメンコも大物のアーティストが出演します。今年はホセ・メルセ、ドランテとアルカンヘル、
イスラエル・ガルバン、パコ・デ・ルシア、などの素晴らしいアーティストがやってきました。
また、カルロス・サウラの劇場作品「フラメンコ・デ・オイ」も上演されました。
入場料は高いですがそれだけ内容が濃いです。併行プログラムFEXもあり、入場無料で
土地の人には有り難いのですが、今年から有料の催し物もあったとか聞きました。
今年は何故かこのFEXでフラメンコがありませんで寂しかったです。

この音楽祭が終わると7月の中~下旬にアルハンブラのヘネラリッフェ野外劇場で8月末まで
グラナダの偉大な詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカをモチーフにしたフラメンコ公演があります。
今年はDUENDEと題した作品が上演され、グラナダのアーティストが大活躍します。
マヌエル・リニャンと日本でもお馴染みのフエンサンタ・ラ・モネタが主演し、
ハビエル・ラ・トーレ、ローラ・グレコが交代でゲスト出演します。

それと同時に約1ヵ月にわたって、中心街にあるコラール・デル・カルボンで催されるのが
今回私が出演する「ムエストラ・アンダルッサ・デ・フラメンコ」と題される催し物です。
各出演アーティストが自分のフラメンコを踊り、唄い、弾いて、それらのアーティストの演技を
楽しむものであります。でもその演技にはプロのアーティストとしての確実なテクニックと
それなりの常識が要求され、それに叶わない時はけっこう厳しく批評されてしまいます。

自分がアーティストとして主催者側が考える実力とアルテを持ち合せているかどうかは疑問ですが、
せっかくのチャンスは活かしたいものです。
長年グラナダでやってきて、もうこの辺で思い切ってもいいのではないかと考え、
新たな戦場?で、何を言われてもいい覚悟で挑戦してみることにしました。
考えてみれば「今」が大切なわたしです。来年はグラナダ在住30年を迎えます。
来年の活動への懸け橋としてもここでちょっと活を入れたい! 
そんな気持ちもあり、今回自分の踊りを精一杯踊ろうと決めた訳です。

corralfolleto.png

上のポスターが今回の仕事です。先日、やっとやーっとポスターが街に貼り出されました。
この催し物、いつもはグラナダ以外のアーティストのが多いのですが、
今年は半分がグラナダ期待の若手アーティストです。還暦の私はもちろん最年長なのであります! 
70歳を過ぎても昔と相も変わらず自分のスタイルで踊り通し、その絶妙なコンパス感の
即興の世界で楽しませてくれるカレーテ・デ・マラガに倣って頑張りたい。
はじめに書いたようにちょっと「辛い試練」、そんな感じではありますが、
「きもったま」精神で行こう!
新しい息吹(共演者)に期待を掛けて......そんな心境のわたしです。 

●コンサートの詳細はこちら
●カレーテ・デ・マラガ(Carrete de Malaga)の画像は何故かリンクできないのでYOUTUBEで探してください。すいません!


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高橋英子 プロフィール

フラメンコ舞踊家。スペインに暮らしながら、現地での舞台活動を重ねてきた貴重な存在。81年渡西。83年、セビージャでセビジャーナスコンクールに入賞し話題を撒く。翌年、グラナダを代表する踊り手マリキージャのアカデミーに招かれてセビジャーナスのクラスを開講。以来グラナダに住み、フェスティバルやタブラオ、ペーニャ等に出演。リサイタルも度々開催している。98年にはスタジオ「ラ・カチューチャ」を開設した。一方日本では、ペヌルティモ・コンサートシリーズ、「きもったま鍋」シリーズなどを上演。フラメンコ舞踊独特のペソ(重さ)とコラヘ(怒り、内に秘めた激情)、そして粋なグラシア(愛嬌)に溢れたバイレは高い評価と人気を得ている。現在は日本でも常設クラスを開講し、日西を行き来しながら精力的に活動を続けている。
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