高橋英子のスペイン、グラナダ、きもったま

クリスマスのフラメンコ


puertareal.pngスペインの師走は日本と同じで募金や慈善コンサートなどの歳末助け合い運動が盛んです。そんな中クリスマスNavidadは始まり、クリスマス宝くじもありまして盛大にテレビで当選番号が決まる様子など放映されます。クリスマスイブNoche Buenaで日本のお正月みたいに家族が集まり豪華な夕食を取ったりして楽しく過ごします。クリスマスが終わるのは1月6日です。6日は東方から3人の王様Reyes Magosがキリスト誕生を祝うためプレゼントを持ってやって来るという嬉しい日で、子ども達はこの日のプレゼントを楽しみにしています。クリスマス、新年、グラナダはレコンキスタ完了の祝日と約1ヶ月の長い期間、街もイルミネーションで明るく、賑やかでお祭りムード、気分も浮き浮きして来ます。

cororociero.pngクリスマスのフラメンコといったらビジャンシーコですね。街を歩いていてもどこからともなく聞こえてきます。ビジャンシーコもいろいろありまして、一般の市民が歌うのはポピュラーなもの-例えば「ジングルベル~ジングルベル~~」のようなものです。各地方に必ずある地方合唱団やコーラス隊(左の写真)やフラメンコアーティスト......唄う人達によって雰囲気が変わってきますね。土地によって、例えばへレスにはへレスの、グラナダにはグラナダの歌があります。が、とにかく長い歴史があるらしく、昔から唄い継がれてきて各地方でその土地の人達が編曲してできてきた、そんな感じがします。同じ曲、歌詞でも歌い方、メロディーが違ったりしますので面白く、歌詞には勿論マリア様やサン・ホセなどがよくでてきます。カトリック王国のスペイン、特にアンダルシアではビジャンシーコがかなり発展している感じがします。とにかくいっぱいあって、飽きないです。3拍子でパルマ、タンバリン、サンボンバ、ガラス瓶などでリズムを取って唄うのがもっともビジャンシーコらしい雰囲気をかもし出します。ギターも加わってタンゴ、ルンバ、ブレリアなどでも楽しく歌ったり踊ったりできます。グラナダでは子供から青年などが中心のビジャンシーココンクールなども盛大に催されました。ビジャンシーコはこの時期には欠かせないのです。

peñavillancico.pngただ近年は街中を歩いていてもあまりビジャンシーコは聞こえてこなくなりました。近代化とともに失われていく年末の風情......ちょっと寂しいです。とはいってもあるところにはあるのがビジャンシーコで、それを大切に思う人達もいる訳です。またそれを歌わずにはいられない人達もいる訳です。そんな輪の一つがペーニャフラメンカです。クリスマスイブの前の週に我がグラナダのペーニャ、ラ・プラテリアla Plateriaで今年最後の催し物となるクリスマスの宴La noche de los villancicos navideños y flamencos.がありました。グラナダのビジャンシーコを若い世代に継承していきたいという願いから一昨年より開催されています。わたしはこの時とばかり参加させていただきました!この日のためにビジャンシーコの練習をしていました。この時の動画があり、それを見るとビジャンシーコがどんな感じで歌われるのか雰囲気がわかります。私もタンバリンPanderetaの叩き方や、新しい歌などちょっと教わったりしました。本番は風邪気味、声が出なくなり唄えませんで残念でしたが、踊らされまして動画にほんのちょっと映っています。是非ご覧ください!動画はこちら

catedralmisagallo.png24日のクリスマスイブは夜中の12時になると教会でミサMisa de Galloが行われます。敬虔なキリスト教の信者はミサに行きます。この日のミサは特別盛大で、昔、地方の友人の家でイブを過ごした時、いっしょにミサについていったことがあります。信者でない私には退屈でしたが、子どもの合唱隊が馴染みのビジャンシーコを歌ってそれなりの雰囲気があったのを思い出しました。それで、ちょっとグラナダのカテドラルを覗いてみましたが、ビジャンシーコらしき歌はなかなか歌わないので間がもたず途中で失礼しました。小さな村の教会の方がファミリーなのかもしれませんね。

porrona.png大晦日Noche Viejaは12回の鐘の音に合わせて12粒のブドウUvaを食べて新年を迎えますが、その後は皆で新しい年をお祝いしてパーテーとなります。日本でもパーテー組や初詣組とかでそれぞれですが、スペインも若者はディスコとかで朝まで、フラメンコ好きは勿論フィエスタです。
ビジャンシーコに限らずフラメンコを歌ったり踊ったりで夜を明かします。クリスマスの期間中は昼間もみんなが集まってフィエスタになることがあったりします。それっていいですね!みんなそれぞれ問題抱えているものだけれど、一時的でも全てを忘れて愉しんでいる。ビジャンシーコはそんな人々の輪の中に存在し、クリスマスの伝統的な音楽として生き続けているのです。


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高橋英子 プロフィール

フラメンコ舞踊家。スペインに暮らしながら、現地での舞台活動を重ねてきた貴重な存在。81年渡西。83年、セビージャでセビジャーナスコンクールに入賞し話題を撒く。翌年、グラナダを代表する踊り手マリキージャのアカデミーに招かれてセビジャーナスのクラスを開講。以来グラナダに住み、フェスティバルやタブラオ、ペーニャ等に出演。リサイタルも度々開催している。98年にはスタジオ「ラ・カチューチャ」を開設した。一方日本では、ペヌルティモ・コンサートシリーズ、「きもったま鍋」シリーズなどを上演。フラメンコ舞踊独特のペソ(重さ)とコラヘ(怒り、内に秘めた激情)、そして粋なグラシア(愛嬌)に溢れたバイレは高い評価と人気を得ている。現在は日本でも常設クラスを開講し、日西を行き来しながら精力的に活動を続けている。
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