高橋英子のスペイン、グラナダ、きもったま

フラメンコ、春真っ盛りのグラナダ①


4月、5月スペインにおりますので、カチューチャ便りをお届けします。

セマナ・サンタ(復活祭)が終わって直ぐに、昨年もお伝えしたロマ人の国際記念日(4月8日)のセレモニア・デル・リオ(川辺のセレモニー)が開催されました。いいお天気に恵まれよかったです。
anacali3.png

今年はグラナダの踊り手Ana Calíアナ・カリが挨拶し、アトラクションでも踊りました。今年のセレモニーでは、市長さんもいらっしゃいました。
anacali4.png

ロマ人のhimnoインノ(称え歌)Gelem Gelemジェレ(ム)ジェレ(ム)を、今年はカンタオールSergio Gómez"El Coloraito"が歌いました。ギターはRafael Fajardoです。このインノはエスぺランサ・フェルナンデスもドランテスのピアノ伴奏で唄っていてとてもステキです。


granadaendanza2.pngさて、この春も舞踊公演が盛り沢山のグラナダです。先ず、昨年始まった「グラナダ・エン・ダンサ」。この催し物はフラメンコだけでなくコンテンポラリー、スペイン舞踊なども見られるものです。今年は昨年より大幅に規模を縮小していて、コンテンポラリー2公演とスペイン舞踊、フラメンコが各1公演ずつあるのみでちょっと残念!


daniel-doña-ni-pausa.jpg4月はグラナダ出身ダニエル・ドーニャのNO PAUSAノー・パウサという作品が上演され、わたしも拝見しました。この日はスペイン舞踊の日で、特にフラメンコ好きの方にはピンとこない?かもしれませんが、とにかく、その舞踊は素晴らしいものでした。内容は殆んどフラメンコの曲でもサパテアード(靴音)が聞こえてこないのが印象的でした。その代り、カスタネットやチンチーネスというタラントやティエントを踊る時によく使われた楽器が使われ、その奏でがとても新鮮でした。ソロンゴ、アバンドラーオ、ぺテネーラ......最後にベルディアーレス(民族舞踊的な踊り)で華やかに締めくくりました。出演したのは男性2人、女性2人の4人と唄い手、ギタリスト。ダニエルのダイナミックな身のこなしが観客を大いに沸かせ、楽しめる作品でした。

luciaguarnido.jpg5月にグラナダの舞踊手Lucía Guarnidoルシア・グアルニードの公演Al Tras Luzアル・トラス・ルスがあります。これもステキそうです。
ルシアはとにかくスラっとしていて美しいのです。エバ・ジェルバブエナの舞踊団でも活躍していましたが、昨年中心街にアカデミーを開いたばかりで順調な舞踊人生を歩んでいます。踊りも洗練されていて、美しい!テクニックも凄いのです。また、そのアカデミーも洒落ているのです。教えるのも上手く、グラナダ留学お考えの方は是非習って欲しい先生の一人です。


グラナダ・エン・ダンサ以外ですと、4月9日~12日までバレエ・フラメンコ・デ・アンダルシア(アンダルシアフラメンコ舞踊団)の設立20周年の記念作品imágenesイマへネスが上演されました。現在はラファエラ・カラスコが率いるこの舞踊団の歴代の監督に捧げる5作品です。これは素晴らしかったです!詳しくはこのサイトの坂倉まきこ「フラメンコ・ウォーカー」でも紹介していますので是非お読みください。


patrimonioflamenco.jpgサクロモンテのアウディトリオ「エンリケ・モレンテ」通称チュンベーラでは、6月まで毎週土曜日にフラメンコ公演パトリモーニョ・フラメンコpatrimoñoFlamencoがあります。グラナダのアーティストが中心のこの催し物、これももうお馴染みです。グラナダを訪れた時は是非足を運んでいただきたいものです。グラナダでアカデミーを開いているアーティストの発表会などもみられ、面白いですよ。しかし、今回のポスター、ちょっと奇抜ですね!写真の踊り手は若手のモイセス・ナバーロMoisés Navarroだと思います。いったい何なんでしょう、これ? (つづく)

  • Yahoo!ブックマークに登録する
  • はてなブックマークに登録する
  • livedoorクリップに登録する
  • FC2ブックマークに登録する
  • Buzzurlブックマークに登録する
  • del.icio.usブックマークに登録する
  • ニフティクリップに登録する

高橋英子 プロフィール

フラメンコ舞踊家。スペインに暮らしながら、現地での舞台活動を重ねてきた貴重な存在。81年渡西。83年、セビージャでセビジャーナスコンクールに入賞し話題を撒く。翌年、グラナダを代表する踊り手マリキージャのアカデミーに招かれてセビジャーナスのクラスを開講。以来グラナダに住み、フェスティバルやタブラオ、ペーニャ等に出演。リサイタルも度々開催している。98年にはスタジオ「ラ・カチューチャ」を開設した。一方日本では、ペヌルティモ・コンサートシリーズ、「きもったま鍋」シリーズなどを上演。フラメンコ舞踊独特のペソ(重さ)とコラヘ(怒り、内に秘めた激情)、そして粋なグラシア(愛嬌)に溢れたバイレは高い評価と人気を得ている。現在は日本でも常設クラスを開講し、日西を行き来しながら精力的に活動を続けている。
関連記事
  1. 70年の歴史、ペーニャ・ラ・プラテリアPeña la Platería②
    今年は歩きだして70年、70アニーバーサリー、プラテリアにとっては嬉しい1年です。6月14日には記念フェスティバル<strong>"Fiesta 70 Aniversario" </strong>が、Auditorio Manuel de Fallaマヌエル・デ・ファジャコンサートホールで開催されました。グラナダのフラメンコ界を担っていく期待の...
  2. 70年の歴史、ペーニャ・ラ・プラテリア Peña la Platería①
    日本でもフラメンコ通、愛好家たちは沢山いますね。カンテファンも年々増加してそういう人達が集まるペーニャという会が存在しますが、本場スペインでは流石に沢山のペーニャが存在し、
  3. LORCAロルカ、もっと知りたい、踊りたい
    毎年夏7月下旬から8月末まで、グラナダのアルハンブラ宮殿内のヘネラリッフェ野外劇場で「ロルカとグラナダ」という、主にフェデリコ・ガルシア・ロルカの詩や戯曲をテーマにした作品の公演があることを前回のブログでお伝えしました。毎年新しい内容で、いいアーティストも出演しますので毎回楽しみにしてはいるものの、私自身は
  4. グラナダ夏のフラメンコinfo. 野外のステキな公演
    とっても暑ーい夏ですね! 連日の猛暑、まだ7月なのに40度を超えちゃいました。西日本大雨の被災地では復旧作業もこの暑さでは本当に大変なことと思います。心からお見舞い申し上げます。 さて、グラナダも連日かんかん照りでみんな干上がっていることでしょう。
  5. 意欲を燃やすパロン!2枚目のCD発売
    知る人ぞ知るプーロなカンタオール、ハイメ・エル・パロンJaime Heredia"El Parrón"イベリアの招聘で来日していますのでご存知の方も多いことと思います。あのしわがれ声でアイ~アイ~などと歌われたらたまらない!そんなフラメンコファンも多いです。彼の2枚目のCDが発売され