高橋英子のスペイン、グラナダ、きもったま

今のわたし

ぶらりぶらりフラメンコ en Granada


repompa2.jpg4月にこちらに来て間もなくでした。久しぶりにサクロモンテ・チュンベーラ市営劇場のパトリモーニョフラメンコを見に行きました。その日はラケル・エレディアとエル・モレーノが出演しました。

Raquel Haredia La repompilla 巻き込まれるステージ!
ラケルは私のお気に入りのアーティストですが、この日は彼女の魅力をたっぷり味わうことができました!とにかく彼女のパワーは凄いのです。身体のつくりからしてドが付くヒターナです。それだけじゃなくって彼女の踊りにはちょっとやそっとでは真似できない魔性的な世界があるんですよ。若くして急逝したマラガの歌姫レポンパ・デ・マラガの姪にあたり、彼女のお母さん、お姉さんも「いい」のです。グラナダに住んでいますので、タブラオやクエバ(洞窟)などにも出演していますよ!


moreno2.pngEl Moreno スカッとするステージ!    
エル・モレーノはこれまた私のお気に入りギタリストであるラファリン・アビチュエラの息子で、小さい頃がらカホンやったり、運動靴でブレリア踊ったりしていましたが、ここ数年ちゃんとフラメンコシューズで踊り出し、愛嬌もあってなかなかいいのです。この日は殆んどメンバーが親族、息の合った普段の仲間同士のショーでして彼らも活き活き、ノリノリだったですね。行って良かったです!


rocio.pngサクロモンテは私の古巣なので、よく行くぶらぶら行くほうですが、時々クエバのショーを見ながらパルマを叩かせてもらったりします。
クエバ「ラ・ロシオ」のショーはフォアン・アンドレス・マジャの振付で観光客用にちゃんと考えられたものですが、
とにかくこれでもかという早くて強い彼らのパルマ、コルテがいっぱいあって気軽に叩けませんので、迷惑にならない程度です。
昔からのサンブラの歌・踊りをメドレーでやったりしていますので、その時だけは張り切ってパルマを叩きます。
ある日、ちっちゃなフラメンカに出会いました!


patricia.pngところで、5月3日の十字架祭では毎回話題の人が開幕宣言をします。市役所の中庭に設置されたステージで、今年は近年の活躍が目覚ましいPatricia Guerreroパトリシア・ゲェレーロがその役目を果たし、おまけに1曲しっかり踊りましたよ!グラナイーナとグラナダのファンダンゴメドレーを振付けたもの。ダイナミックなマントン捌きが見事でした。まだ25歳だなんて!終わってから彼女と記念撮影、笑顔がとっても可愛いです。


mieko.pngさて、ちょっとフラメンコとは関係ありませんが、私は十字架祭が大好きで、とうとう今年は自分で十字架を作っちゃいました!
ここ数年、この時期にスペインに居ることが多いのですが、十字架(Cruz)の飾りつけコンクールなのどもあり、賞金も出ますので、私もつくりたいな~などと思っていたからか、急に思い立ちました。大々的には宣伝しませんでしたが、
その夜、ゲストハウス「パティオ・グラナダ」の美恵子さんや旅行中の方が見に来てくださいました!しかも、フラメンコ衣装をまとっていたのでビックリしました。艶やか!この日は一般市民がTraje de gitana(セビジャーナスの衣装)で着飾り、セビジャーナスを踊るのです!
ところで、我がスタジオ前の植木鉢に設置したミニ十字架、夜はライトアップしました!見えますか?
cruzmini.png2.png
(つづく)


★6月からレッスン再開、お気軽にいらしてください!
詳細はこちら


「千本桜」、ニコラジ生放送のレポート


今年の初踊りはなんとテレビ出演でした。しかもサテライトスタジオでの生放送だったんです!
1月末にスペインからバタバタと帰りまして、2月の初めのことでした。これも一つの経験。
テレビスタッフの方々も感じがよくて、楽しい思い出となりました。ちょっとその時の様子を簡単ですがご報告します。

実はギターの若林雅人氏が、ニコラジというインターネットの生ラジオ番組に出演することになって、「千本桜」という話題の音楽をご披露するということで、それに合わせて踊って欲しいと依頼がありました。友人の若林氏を応援したいと、わたしも急きょ振付し、そして出演とあいなったのです。ラジオといってもテレビで、ネットの世界の話なので、私はかなり、ちんぷんかんぷんでした!「千本桜」って、機械が作った音楽なんですって。ヒェー!です。でも悪くないです。私は嫌いじゃないです。いままでも色んな人がこの曲を演奏しているのです。この日は「若林バージョン」ということで、フラメンコっぽく仕上がっていまして楽しく踊れました。

nikoraji1.png
★サテライトスタジオは外から中継が見られるのです。

nicoraji2.png
★主役ではない私もインタビューを受けました。上のモニターテレビにはちょっと時間的にずれて写るよう?

nicoraji3.png
★「どんな時が一番楽しいんですか?」とか聞かれて、「本番が一番楽しいです!」などど答えている私でした。そうそう、「私は古の人間ですから」って言ったら、それが何故かウケました!

nicoraji8.png
★いよいよ若林氏の演奏となり、こちらも小さなスタジオ内で強引に踊りました!

nicoraji4.png
★けっこう真剣なまなざし!

nocoraji5.png
★「素晴らしい踊りでしたね!」と大受け!まぁ何といいましょうか...(苦笑い)

nocoraji6.png
★放送が終わってから番組の司会者、やまだひさしさん達と記念写真、オレ!

nocoraji7.png
★帰ろうとしたら、何故か我が居住地の非公認キャラクターが登場!べシートで迎えてくれました!「お疲れさま~!」


ペサディージャ(悪夢)


いきなりこの大根足をお見せするのはなんともお恥ずかしい話ではありますが、
これは5ヵ月前にスペインで右膝を捻挫し、救急病院で包帯をグルグル巻きにされた時の
写真なのであります。捻挫したのは、帰国前のハードスケジュールが原因です。
追い込み練習の他、雑用などであちこちへ出歩いていて、足の疲れを感じていたにもかかわらず、
ケアするでもなく無理してしまったのです。なんであの日に!そんなに急ぐこともなかったのに......などと今でも悔やまれる13日の金曜日!しかも仏滅、ああ!いろいろあった還暦の夏をこんなペサディージャ(Pesadilla悪夢)で締めくくることになるとは。

esguince.png

不覚!わたしとしたことが......。でもその時はまだ大したことないだろうと思っていました。そのうちなんとか買い物に行けるようになり、3週間遅れて日本に帰国しました。
まだ踊るなんてとんでもなかったけれど、生徒もレッスンを楽しみに待っているのでクラスを再開。
痛みは動かなければそうでもないけど、クラスの後、どうも右膝の外側に辛いものがあり、
損傷した靭帯がまだよくなっていないようで、もともと昔から同じ場所にある良性腫瘍の痛みも
併発しているようで心配になり、仕方なく整形外科へ行きました。腫瘍は何でもないもので、
靭帯も痛みの原因ではなくて、どうも膝関節の半月板が心配だということで、MRIを撮りました。
そして外側の半月板が損傷しているのがわかったのです。やっぱりただの捻挫じゃなかった!
でも幸いなことに、内側の半月板はまだちゃんとしていました。

そのうちよくなるんじゃないかな、深く考えず、理学療法士の指示で筋肉の硬直をとるストレッチや
軽い筋トレなどのリハビリを続け、クラスだけ何とか続けました。そしてそのうち右膝外側の痛みは
相変わらずでしたが、だんだんサパテアードを加減して打てるようになりました。
よかった、この調子でしばらく我慢しながら無理せずやって行こうなどと思っていましたが、ある日レッスン中、ついうっかりバタバタやってしまったのです!だいたいが、気を入れないでフラメンコできないです。
足腰が安定しないと上体の動きも制限されて、中途半端な振付になってしまいます。
おまけに、自分の練習もできずにイライラしています。ちょっと足が先行してしまった。
その日はギター伴奏があったので、リズムに乗って調子づいてしまったようです。
耐えられなかった膝が見事に腫れてしまいました。
comida1.png
★捻挫した時は、家の大屋の奥さんが毎日手料理を届けてくれました!この日は鶏肉の人参ソース、煮込みで白米付、デザートはグラナダ銘菓のピオノノです!(右上)グラナダに行ったらぜひ食べてね!

油断大敵!わたしらしいな......。ただの炎症かと思っていたら、腫れがなかなかひかず、
膝が曲がらなくなってしまいました。そして、お皿の上がなんだかブヨブヨしているのです。
嫌な予感!ひょっとしてこれが所謂「水が溜まる」ってやつかな?
よくお年寄りが「膝のお皿に水が溜まりまして...」と言っているのを聞くけれど......。
一度抜くと癖になるとか誰かが言っていたなぁ~。行かない方がいいかな?でも明後日のクラスが
この状態ではできそうにない、やっぱり行かなくちゃ!と、緊急に整形外科に行きました。
そして先生に確認しましたら、「そうですよ、抜きますか?」と簡単に聞かれました!なにしろ生まれて初めてのことですから、ちょっと動揺している私に親切な言葉は何もなく、サラッと「あなたの判断に任せます。」えーっ!どうしたらいいの~そんな簡単に決められな~い!
幸い、看護士がやさしく対応してくれて考えること1時間、わたしは決断しました!

取りあえず抜いてもらうことにしました。靴づれでできる水ぶくれの何百倍もの量がありそうで、
とてもあの水が簡単に引いてくれるようには思えなかったし、応急の処置として仕方なかったです。
処置後には膝も曲がるようになったし、2日後のクラスもなんとかできました。
しかし注射器で抜いた水を見せてくれたけど、とってもきれいなクリスタル・イエロー!
その輝きに見入ってしまいましたが、同時に2度と水を溜めちゃいけないな、
そう自分に言い聞かせました。

と、まあ、そういうことなのです。
今、捻挫から5ヶ月以上経ちましたが、今回の故障はその後の快復が遅いです。
ですので、舞台活動はしばらくお休みです。ちょっと暗い!憂鬱!
そして過去の怪我や故障の歴史を思い出してしまいました。

comida2.png
★これはキャベツの煮込み料理でモルシージャやチョリソが入ってます。

そういえば、初めての帰国リサイタルの1ヶ月前に、真昼間のアルバイシン(グラナダの地区)で
引っ手繰りに遭ってバックごと転がり、ろっ骨を打撲してえらい目に会ったことがありました。
膝の怪我では、やはりアルバイシンで、いつも目的地に向かって急ぎ足だからか、不運にも
マンホールにドスンと落ちてしまったことがありまして、打撲してちょっと深い傷を負いました。
また、セビージャで道を歩いていて何の因果か、段ボールの梱包用の頑丈な紐が足に絡まって
転がり、膝、肘などを打撲軽傷。日本に帰国中に自転車横転事故で膝や顔、腕を打撲軽傷した時は
大変だった思い出があります。などなどこの30年、我が膝は何回となく痛めつけられました。

これらはフラメンコとは関係なく起きてしまったことです。でも腰の故障はフラメンコで
バンバンとサパテアートやったり、身体をひねくり回したりしてきたからかなと思います。
随分前ですが、帰国クルシージョでレッスンに追われている時に電気ショックのような激しい
坐骨神経痛に襲われ、立てなくなって痺れが止まらないので入院したことがありました。
あの痛みは2度と経験したくないですね。あれから何とか立ち直り頑張って来られましたが腰はもうもうガタガタで、きっと腰椎はぐちゃぐちゃでしょう。6年前に頑張り過ぎて、
その後も休む間もなくあれこれ仕事に追われていたある日、腰椎がガギクッと鳴り、腰痛が再発。
1年ぐらい舞台では踊れなくなりました。すべり症→椎間板ヘルニア→脊柱管狭窄症といった具合に
だんだんエスカレートして悪くなっています。

思い出せるだけでもいっぱいありました。何かある度にリハビリ生活。
長かったり、短くて済んだり。全く身体が資本ですから、強い身体づくりや体力維持、
痛めつけた身体のケアなどが大切ですね。普段から生活のリズムも調整して、
怪我をしないように気を付けるのも仕事のうちではないでしょうか。
自分の生活をみると反省ばっかり、事務作業に追われて身体のケアを忘れていることが多いです。
慌ててついうっかりという不注意も多いし、ただ気を付けているつもりでも、外に出ると
想定外の悪夢が待っていたりもするので怖いです。


さて、今回の故障でまともに踊れなくなってから、右足が痩せてしまいました。
そこで、痛みをかばいながらも1月からスポーツクラブに通い始めました。
水中ウオーキングに専念し、家で軽く筋トレとストレッチ、今月からマシンで負荷を増やしての
筋トレを開始しました。そしてこのところ、少しずつ効果が見え始めてきて、
駅の階段を下りるのが少し楽になってきました!
スポーツクラブではゆっくり炭酸泉浴もできて、とってもいいです!スッキリします。
なにしろ昨年の夏はスペインでしたので、お風呂が無く、3ヶ月間シャワーだけだったのです。
捻挫した頃は、身体も休められない状態で疲労が蓄積していたのですね。
一時は膝に水が溜まってどうしてよいのかわからなくなったけど、今ようやくちょっとですが
明るい兆しが見えてきました。もうすぐ春、調子をすこしでも取り戻せたら嬉しいです。

cantepalma.png

思うに、踊れない時って普段できないことを勉強できるチャンスでもあります。
今回リハビリ生活が長引き、去年の夏にグラナダで踊った踊りも、そのあと練習していたことも、
何もかも忘れてしまい、なんだかいつもリハビリ中はそうなのですが、自分がいったい何者なのか
わからなくなってしまいます。でもそんな中、私は自分の好きだったフラメンコを思い出しました。
ふーむ、そうだった。こんな世界に昔は憧れていた!などと昔を振り返りながら、
歌ったり、パルマ叩いたりとサパテアード以外のフラメンコを楽しんでいます。

もうすぐ生徒ライブがあり、私も何かやらなければなりません。先生は辛い!
でもなんとか踊れるかもしれない、そんな感じになってきました。
いつだったか腰がダメだった時の生徒ライブでブレリアをちょこっと唄わせていただいたけど、
悲しいかな、唄はダメ。声がダメ。オンチで声量もないのでやはりできたら踊りたいです。
無理できない時は椅子に座って踊ったり、小道具使ったり、ブラッソやパルマだけでもいいですよ。
左足はバンバンたたけるので、左足をうまく使って......考えればなんかできそうじゃないですか?
今回もなんとかフラメンキータで行こう!そう思っている今日この頃です。

《生徒ライブ3/7が終わったらスペイン行が待っています。タイムマシンに戻ります!》

chottohitokoto2.png今日2/28は「アンダルシア州の日」でお祝いしますが、フラメンコ界は偉大なパコ・デ・ルシアを失った悲しみに包まれています。お悔み申し上げます。パコが生きた時代に私もフラメンコできてよかった!パコが残してくれたフラメンコの財産、宝物いっぱいです。ありがとう!パコは永遠です!


枯葉の舞い


自分の踊りの出来具合がどうだったかなんてあまり公にしたくないものですが、
わたしにとっては心に残る場面もあった今回の「ムエストラ・デ・フラメンコ」です。
恥かしながらも自己採点、感想などを少しばかり書いてみます。
hojacaida.png
出だしのマラゲーニャは静々とセンチメンタルに始まりました。
次の唄に続くファルセータ(ギターのメロディー)が終わりかけた頃、
振りの合間に上空から薄黄色い枯れ葉が舞い降りてきました。
コラール・デル・カルボンの中庭にある大きなブドウづるの葉っぱです。
ちょうど目の前にひらひらと......。
あれ?髪に飾った花が落ちたのかなと一度は勘違いしたものの、いや違う、
花は頭に付けてない!
ではいったい何だろう?と一瞬戸惑い、舞台の中央に落ちたその枯れ葉に目が行きました。
そんな始まりで、あっという間に濃厚な1時間が過ぎたのでした。

会場のグラナダの観光名所でもあるコラール・デル・カルボンは、中央に噴水のある中庭で、
その周りを四角に囲むようにアラブ式に建物が作られています(14世紀頃)。
収穫した小麦を売りに来る人達の小麦倉庫兼宿屋で、1階は馬の宿舎だったと聞きました。
その古の趣は何か霊感を与えられるような独特な雰囲気を醸し出し、フラメンコに最適なのです。
わたしがスペインに来た当時に初めてここで見たのがマリオ・マジャの作品でした。
ですからその時の印象が長い間残っていまして、そういう場所で踊れることは嬉しいですし、
心こめて踊ってステキな舞台にしたいと、はじめは意気込んでいたのですが......。

corral1.png

今回はマラガやカディス、トリアーナ(セビージャ)の唄で振付けた2つの作品を踊りました。
自分としてはアンダルシアの平穏なイメージとダイナミックなイメージを同時に感じられるような
内容にしたかったのです。今年の「きもったま鍋」でも踊りましたが、「きもったま鍋」では
思い付きで短期間にバーッと振付けたので、パソなどに曖昧さが目立ちました。
そこで今回は細部を練り直し、1曲目は乱れそうな危険なパソは避けて無難にまとめ上げました。

先だってのブログでも書きましたように、今回初めて共演した新しい息吹(アーティストのこと)は、
ギタリストも唄い手もよく頑張ってくれまして、1曲目は出だしちょっと緊張気味でしたが
まあまあのできでした。100点満点で80点ぐらいでしょうか。
私とともに観る人にも唄を感じてもらいたいと思い、
あくまでも自分のありのままのシンプルな世界を大事にしたので、自然に気が入り
わたし自身になりきることができました。そして今回初共演の唄い手も、
私の期待に応えてとても良く歌ってくれましたので、指の一本一本にまで心が籠もりました。
オレ!(新しい息吹に拍手!)

問題は2曲目でした。
フラメンコ舞踊の中でもポピュラーで誰にでも踊られ、唄われ、親しまれているソレアと
アレグリアスを続けて踊りました。うまく流れを作ってソレアからアレグリアスに展開させまして、
そのアイディアはわたしもちょっと気に入っていて、「きもったま鍋」の時は音楽もよかったです。
今回は振りも調整し、若い息吹(ギタリスト)も頑張って音楽を勉強してくれましたし、
この催し物のために「きもったま鍋」の時とは最後の演出を変えまして、無難な感じに。

corral2.png

それでどうだったかといいますと、
残念なことにあちこちに技術的ミスが発生しました!
ソレアのエスコビージャの後半、自分の足がどうも思うように動かないことがわかり、
その後アレグリアスに展開したら、何でもないところでまたまた足が想定外に動いてしまいました。
これまであれこれあった疲れが、やはりじわじわと出てきてしまった感があります。
精神的、肉体的疲労は集中力を乱し、そこには予期せぬ事態が待ち構えているものですね。
ただ、悪戦苦闘しながらもなんとか対処して最後のブレリアになりました。

ブレリアは一番の見せ所。しかし情けないことに、出だしのコントロールが利かなくなり、
踊りのテンポが上がってしまいました。それは何とかなったのですが、
ちょうど雰囲気が盛り上がったところでバックの歌が予定どおりに入らず......ガックリ。
踊り手の辛いところは、バックが自分の注文通りにやってくれなくても、
なんとか臨機応変に対応してうまく踊り切らなければならないということです。
いい流れを作っていくだけの余裕が自分にある時は、即興も冴えていい感じになります。
ですが今回は残念なことにそんな余裕はとてもじゃないけどなかったです。
2曲目は60点しかあげられません。

結果的に好きなブレリアではうまく自分の持ち味を出せなかったけど、まぁ、いい!
早い話が自分の実力なんてこんなものかも......と諦めて、
なんとか頑張って踊り切ったことに乾杯し、明日からまた頑張る! そうすることにしました。
それでまとめると、全体的にみて決して良くはなかったけど、悪くもなかった......ということで、
平均して70点ぐらいかな、これ以上の得点は無理です。

corral4.png

皆さんはご覧になっていないので、あれこれ言っても面白くないかもしれませんね、すいません。
(少しYOUTUVE にでもアップしたいと思っていますが、もう少し待ってください。)
でもこんな批評がありまして、それはきっと、私の踊りに好感を持っていただいている方なら
納得できることかもしれないなと思いました。
「彼女は自分がフラメンカであることを感じ、自分がどのようにフラメンカであるかを探す。」
という始まりでわたしの舞踊表現方法に触れ、それを褒めてくれているのかどうかは
分かりませんが、少なくとも有効だとか、値打ちのあるものだとか言ってくれています。
その後、こんな風に続きます。
「他の技術的なことをどう見られようが意にとめず、彼女なりの(注目を引く)表現方法で
平然と踊り続け、観る人を巻き込み、楽しませ、語りかける。
いつの間にか観る人は不明確な部分などは忘れ、彼女の動きの世界に見入っている。」

ふ~む。
要するに自分の表現方法、「わたしはこう踊る!」というものを持っているのだとしたら嬉しい。
多くの人の心に語りかけ、少なからず感動に導くような表現になっていたのなら少しは救われます。
でも、やはり足(サパテアード)ですね。褒めようがなかったのは確かですが、
注目を引くところが他にあったので、そちらの方を誇張して書いてくださっているのだと思います。
嬉しいような、悲しいような......。

corral3.png

しかしあの舞い降りてきた薄黄色い枯れ葉は、いったいなんだったのでしょうか?
ちょっと気になるのはどうしてかなぁ~。
ただの偶然なのに、何か意味付けしたくなるのはどうしてなのでしょうか。
枯れ葉はライトに照らされキラキラと黄金のように輝いていました。
ひょっとしたらわたしの舞踊人生も、この枯れ葉のように最後までキラキラ輝き、
そしてパッと散る......そんな風でありたいと本人は思っているのかもしれません。

FOTO/植田苗水NAEMI

◆写真、批評などは下記でご覧になれます。
高橋英子ホームページ(スペイン) 高橋英子ホームページ「レポート」


年女、真夏の嵐、なんのその


今年は夏の始まりからこのグラナダに来ているわけですが、考えてみたら、
まだこの夏、雨を一度も見ていませんでした。
だいたい夏は雨が少なく水不足になることが多いくらいです。
ですが今日、ちょうど昼食の時間帯に突然あたりが暗くなり、
ゴロゴロと雷が鳴りだしたかと思ったら、ザーザー音がしはじめ激しい大雨となりました。
グラナダの街はこの夏初めてのトルメンタ Tormentas(雨嵐)に見舞われたのです。
お昼までは普通に晴れていたので、予期せぬトルメンタにビックリしました。
「このところのモヤモヤした思い」を一掃してくれるかのような大胆な降りっぷりでした!
2,3時間しておさまりましたが、なんだか心が洗われたよう!
ちょっとスカッとした気分になりました。いやなことは忘れて明日のことを考えよう!
このトルメンタ、わたしをそんな気持ちにさせてくれたようです。

tormenta.png

「ロス・ベラーノス・デ・コラール」の舞台を終えたのは、それはもう1ヵ月も前の話です。
報告ができないまま時間がこんなに早く過ぎてしまうなんて......信じられないです。
前回のブログで書きましたように、公演までに沢山の問題があったわけですが、
実は終わってからもまたまたあれこれありまして、バタバタしました。
いやな思いをさせられることも続出しまして......。
なんだか今回は問題が多過ぎて、考えさせられることばっかりでした。
そして、こちらのフラメンコ界のことや、今のスペインを新たに勉強させられまして、
いまだにどうも分からないことや、納得できないことばかりです。
「このところのモヤモヤした思い」とはそんなわたしのやりきれない気持ちのことなのです。

そんなこんなでブログの更新もなかなかできませんでしたが、
あんまりくどくど愚痴っぽく書かないで、明るく行きたいです。
遅ればせながらの報告で申し訳ありませんが続けさせていただきますね。

rayapitas.png

さて、「新しい息吹に期待して」合わせ練習が始まった訳ですが、実はそれ以前に、
精神的ストレスが出たのか、急に首が痛くなり、薬飲んだり、湿布したりしていまして、
やはり合わせ練習でもスムーズにいかないこと等ありましたので、少しよくなったかと思うと、
また痛くなりで、不安感に苛まれたりもする日々を送りました。でも幸いなことに
本番日の2、3日前には痛みがとれまして助かりました。こんなことあまりないので
嫌な予感もちょっぴりあったりしましたが、無になってフラメンコの音楽に身をゆだねよう......。
そんな気持ちで、うまくいくかどうかは、運を天に任せ本番に臨みました。

結果的に大きな失態を演ずることはなく、観客の数も予想以上で沢山の拍手に包まれ、
盛況のうちに舞台を終えることができてホッとしました。
ここの友人や、ペーニャの人達や、いつも招待するマリキージャ、他の招待アーティストも
みんなとても良かった!と喜んでくださいました。肩の荷が下りたような気分でした。
終わってからはみんなに挨拶したり、感想聞いたりしながら、
ビールをとっても美味しくいただくことができました。
日本で応援していてくださっていた皆さん、ありがとうございました!

tormenta2.png

事前の新聞社のインタビューでは、わたしが実は今年、60歳になったことをさりげなく言って、
(言う必要もなかった?)でもまだまだ頑張っているんだというようなポシティブな姿勢で
対応しましたが、下記のようなちょっとくだけた、微笑ましい?記事となりました。
「ほんとは引退を考えている?」と聞かれ、
「ノー!(笑い)。でも実際問題、2つの現実は厳しく精神や身体にちょっとこたえるわ。」
と答える。すると、
「ひょっとしたらフラメンコに疲れていない?」と来て、
「そんなことは絶対ない!大したアーティストにはなれなかったけど、これからも勉強し続け、
希望と情熱をもってわたしなりの世界を発展させたいわ」と答える。

確かにそういうことは言ったけど、こういう質問と答えで会話が進行した訳ではないです。
ぬけぬけと面白おかしく書いてしまうのってスペイン的かも?
2つ目の質問は、こういう風に実際聞かれたのだとしたら、フラメンコに疲れはしないけど
フラメンコ人(アーティスト)には疲れるって言いたかったですね。
(もちろん全部のフラメンコ人ではないです、一般的にということです。)
まぁとにかく、当日のこの新聞記事を見て観に来てくれた人に道で声を掛けられたりしまして、
それは、嬉しい話であります。記事にはこのブログのタイトル写真を載せてもらったので、
明るくなりました。イメージアップになったかも。

periodico2.png

公演が終わってから、3人の批評が新聞やネットに公開されました。実は自分の演技に関して
どんな感想を聞かせてもらえるのかは、今回ちょっと楽しみなことでもありました。
演技がうまく行けばいいけれどミスが目立ってガタガタになってしまうと、
やはり活字でバンと書かれてしまうのはきついですが、仕方ないことですね。
観てない人は批評をうのみにしてしまうことが多いので、どんな書かれ方をするかは
気になるところでもあります。でも、だいたいがグラナダのアーティストのことは
あまり悪くは書かない傾向があって、わたしにも好意的だったように思えます。
自分の踊りのことは自分でわかっているので、それらの確認の意味では納得のいける批評でした。
でもやはり、踊りの構成や細かい振付のことまではあまり批評できてません。
唄などの趣味がわかってもらえるのは嬉しいです。
とにかくまぁ、各人批評の仕方が様々で面白く、スペイン語の勉強にもなりました。

それではそれらの批評を混ぜながら、今思えばそれこそ今日のトルメンタのように
ドドッ、バワーッと踊り切った感じの今回の舞台について、次回は書いてみたいと思います。

FOTO舞台/植田苗水NAEMI



新しい息吹に期待して・・


良かった!少しいい感じにはなって来ています。
やっと唄やギターのバックアーティストとの練習が始まりました。
今色々最終的に振りをまとめています。
歌やギターを聞いて、あれこれと踊りのことを考えられるのは嬉しい。
どうまとめるか悩むところもあるけれど、考えてみれば一番充実している時でもあります。
今は欲張ってあれこれやろうと思わずに、内容を絞ってやりたいことを決めておくとか......。

実は6月中旬からにスペインに来ています。来週このグラナダで踊ります。
今回の仕事は万全な構えで行きたかった大事な仕事です。
ですが、契約書のことや、宣伝関係のこと、共演アーティストのこと、
集客のこと(今年は経済危機だか何だかでアンダルシア州からの援助がありません)等々で
あれこれ問題がありまして、このブログもなかなか更新できない状態でした。

なんでこんなにあれこれあるのか、ごちゃごちゃするのか?
頑張ろうと思っている自分に、それを阻む力がどこかで加わっているような気がしたり、
運の悪さを感じたりして、ちょっとネガティブになっていました。
せっかくの仕事なのに、頼りにしていたギタリストには頼めなくなってしまったのは、
そのなかでも一番残念なことです。ですが、そんなことでめげていてもしょうがないので、
他の人を頼んだら問題が起きて、またまた他の人を探さざるを得なくなりました。
そんな訳でとても穏やかではいられないことばかり続いています。

でもいい!決めたことだからやらなくっちゃならない。そう思ってここまで来ました。
冷静にあれこれ処理して、本番ではなんとか踊り切ろう!
幸い、今回頼んだ若手ギタリストはなんとか頑張ってくれています。
また唄い手はいつものメンバーに加え、若手の素晴らしいカンタオールを呼びました。
そのアーティストがとてもいいのです。気持ちよく踊れます。
それがなんといっても楽しみで、救いなのであります。

corral foto.png

グラナダでは6月下旬から国際音楽舞踊祭が約3週間ぐらい催されます。
この音楽祭は60年以上の歴史をもち、上演されるのはクラシック音楽、バレエなどが多いですが
フラメンコも大物のアーティストが出演します。今年はホセ・メルセ、ドランテとアルカンヘル、
イスラエル・ガルバン、パコ・デ・ルシア、などの素晴らしいアーティストがやってきました。
また、カルロス・サウラの劇場作品「フラメンコ・デ・オイ」も上演されました。
入場料は高いですがそれだけ内容が濃いです。併行プログラムFEXもあり、入場無料で
土地の人には有り難いのですが、今年から有料の催し物もあったとか聞きました。
今年は何故かこのFEXでフラメンコがありませんで寂しかったです。

この音楽祭が終わると7月の中~下旬にアルハンブラのヘネラリッフェ野外劇場で8月末まで
グラナダの偉大な詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカをモチーフにしたフラメンコ公演があります。
今年はDUENDEと題した作品が上演され、グラナダのアーティストが大活躍します。
マヌエル・リニャンと日本でもお馴染みのフエンサンタ・ラ・モネタが主演し、
ハビエル・ラ・トーレ、ローラ・グレコが交代でゲスト出演します。

それと同時に約1ヵ月にわたって、中心街にあるコラール・デル・カルボンで催されるのが
今回私が出演する「ムエストラ・アンダルッサ・デ・フラメンコ」と題される催し物です。
各出演アーティストが自分のフラメンコを踊り、唄い、弾いて、それらのアーティストの演技を
楽しむものであります。でもその演技にはプロのアーティストとしての確実なテクニックと
それなりの常識が要求され、それに叶わない時はけっこう厳しく批評されてしまいます。

自分がアーティストとして主催者側が考える実力とアルテを持ち合せているかどうかは疑問ですが、
せっかくのチャンスは活かしたいものです。
長年グラナダでやってきて、もうこの辺で思い切ってもいいのではないかと考え、
新たな戦場?で、何を言われてもいい覚悟で挑戦してみることにしました。
考えてみれば「今」が大切なわたしです。来年はグラナダ在住30年を迎えます。
来年の活動への懸け橋としてもここでちょっと活を入れたい! 
そんな気持ちもあり、今回自分の踊りを精一杯踊ろうと決めた訳です。

corralfolleto.png

上のポスターが今回の仕事です。先日、やっとやーっとポスターが街に貼り出されました。
この催し物、いつもはグラナダ以外のアーティストのが多いのですが、
今年は半分がグラナダ期待の若手アーティストです。還暦の私はもちろん最年長なのであります! 
70歳を過ぎても昔と相も変わらず自分のスタイルで踊り通し、その絶妙なコンパス感の
即興の世界で楽しませてくれるカレーテ・デ・マラガに倣って頑張りたい。
はじめに書いたようにちょっと「辛い試練」、そんな感じではありますが、
「きもったま」精神で行こう!
新しい息吹(共演者)に期待を掛けて......そんな心境のわたしです。 

●コンサートの詳細はこちら
●カレーテ・デ・マラガ(Carrete de Malaga)の画像は何故かリンクできないのでYOUTUBEで探してください。すいません!



「きもったま鍋」ってどんな鍋?


還暦記念も兼ねたライブ『きもったま鍋7』は盛況のうちに終えることができました。
応援ありがとうございました! 

本当にお蔭様で、自分のソロライブを続けていけるのは嬉しいことです。
昨年、4年ぶりに開催してから、特にその有難みを感じるようになりました。
ですからお客様をガッカリさせないよう、いつでもより良い演技を目指しながら、
一生懸命今の自分を踊って行かなければと思っています。

振り返ってみると、第一回『きもったま鍋』の時、わたしは45歳だったんです。
スペインに渡って17年の月日が流れていました。
その頃、亡き両親もだんだん年老いてきていまして、これからは日本に帰る機会を増やして、
なるべく一緒にいてあげたいと思うようになりました。
「日本でもやらなくちゃ!」と思い立ち、早速クルシージョ活動を開始しました。
日本の状況もつかめてきた頃に、小さな空間でお客様と一体になれるタブラオライブに
ちょっと魅力を感じ、この自主ライブを企画するに到った訳です。
スペイン生活でちょっとした行き詰まりを感じていたということもあったと思います。
それまでのスペイン生活でのあれこれはこれから振り返るとして、
とにかくあの頃は、自分を思いっきり踊ることに飢えていたのだと思います。


※第一回『きもったま鍋』の思い出のチラシです。
『きもったま鍋』ちらしptaje0.png


『きもったま鍋』では、カンテ・ソロがあって、次にバイレ・ソロがあるという
昔ながらのオーソドックスなコンサートスタイルで、ただ普通にフラメンコを踊っています。
よく相撲の力士たちが口癖のように「自分の相撲をとりたい」と言いますが、
それは、いい相撲をとることを勝ち負けに関係なく大切にしているのだと思います。
わたしも「自分の踊り」を踊って、得意の決め技でライブをバシッと締めくくる、
そんな感じで、とにかくいいフラメンコを踊って行きたいと思っています。

わたしはアーティストである前に、純粋なアフィシオナード(愛好者)です。
ですから、わたしにとって「いいフラメンコ」の条件は、
先ずテクニックが確実で、深みのある洗練された踊りであることの上に、
「良きアフィシオナードとしての趣味とセンス」とか「独自の世界」が
光彩を放っているということなのです。
理想の高い世界かもしれませんが、ずーっとそう思ってやってきていまして、
ちょっとでも自分の理想の世界に近づいていれば本望なわけです。

でも、そういったことの他に、わたしがとても大切にしていることがあります。
自分のアイレとアドリブでお客様を自分の世界に惹き込み、楽しませ、
そして喜んでもらいたいということです。
言わば、良きエンターテイナーでありたいということです。
会場に足を運んでくださる方々も、そんな私のフラメンコを観たいのであって、
近年の高度な技術やしゃれた衣装などを期待していらっしゃるわけではないでしょう。
とは言っても、今回は少し、衣装やヘアーにも少し気を配ってみたんですけど......(笑い)


きもったま鍋7ライブ写真pataje1new.png 


さて、実際問題、『きもったま鍋』って、いったいどんな鍋かと言うことですが、
その前にちょっと、日本のお鍋料理や煮込み料理で考えてみてください。
先ず、相性のいい具材を選んで仕込みなどして煮込みます。
具材も早く煮えたり、時間かかったり色々ですから要領よく、手際よくしたいですね。
煮込んでいるうちに具材どうしの味がだんだん染み込んできますが、
そこにやはり気が利いた味付けが加わると味がしまります。
いろんな具材がほどほどの煮え加減で、味加減で、丁度いいところでいただきたいものです。
煮え過ぎてドロドロになってしまわないように、その火加減も難しかったりします。
料理人の腕前ひとつでうまくもまずくもなりますね。

『きもったま鍋』も同じことで、美味しく作るのってけっこう大変なのであります!
そして、そんじょそこらの鍋じゃないんです。
具材っていうんですか、中身がちょっと変わっていてユニークなんです。


きもったま鍋7ライブ写真potaje2new.png


その中身は、このライブのスペイン語タイトルにダイレクトに示されています。
Potaje con Coraje ポタッヘ・コン・コラッヘ と言います。

ポタッヘはスペインのポピュラーな煮込み料理で、体が温まります。
コラッヘは、内から込み上げてくる何というか、いたたまれぬ憤りや怒り、
よく若い人が、カッときて「ムカつく」とか言いますが、そんな感じの意味合いがあります。
そして丁度「なにくそ!」なんて思ったりする時のパワーのように、
わたし達の内に潜むエネルギー、気力のことでもあります。
ですから、そのコラッヘが入ったポタージュとでも考えてください。

もともとはこのスペイン語タイトルに本来の意味が含まれているのですが、
日本語タイトルも必要なので、考え付いたのが『きもったま鍋』です。
イメージ的になんか肝(内臓)入り鍋っていう感じがしませんか?
それで、昔、「肝っ玉かあさん」とかいうテレビ番組があったのを思い出し、
「肝っ玉」という言葉が面白いので、すっきりとひらがなで『きもったま鍋』としたのです。

言ってみれば、
「積もり積もったコラッヘを鍋にぶち込んで、至上のフラメンコ鍋をご馳走いたしやしょう!」
と、大きく見えを切ったというわけです。
まさにこのタイトルは、わたしがこのライブを初演した15年前の、
あの時の心境を的確に表しているのです。


きもったま鍋7ライブ写真pataje3new.png


ですが、15年経って、今のわたしにこのタイトルはふさわしいのか?と考えたら、
もうこれからはPotaje sin Coraje ポタッヘ・シン・コラッヘ
「コラッヘ無しのポタージュ」のがいいんじゃない? 
そんな感じもしないではありませんが、
これでは味気ない病院食みたいで、タイトルになりません。

不思議なことに、いつまでたっても、どこに居てもコラッヘは積もり積もっていくのです。
ムカッとしても、スペイン人のように直ぐ感情的になってガーッと発散せず、
冷静さを保って対処する。それって日本人の美徳の一つかもしれません。
ですから、わたしもその気になれば、このライブ『きもったま鍋』を
傘寿(80歳)のお祝いまで続けられないことないかもしれません!(笑い)

[写真:中尾務]

わたしにできること


さて、タイムマシンに乗る前に、今のわたしについて少しばかりお話ししたいです。

今年の幕開けから1ヵ月をスペインで過ごしました。
今年も『きもったま鍋』を開催することになり、その準備やなんやかやで、
せっかくスペインに行っているのに、ちょっぴりスペインを味わっただけでした。