高橋英子のスペイン、グラナダ、きもったま

カチューチャ便り

人気のアルカンヘル、クリスマスの始まり 


スペインの師走は出だしに6日、8日と祝日が続き、多くの人が連休を活かして小旅行に出たり、
街を散歩したり、休日を楽しみます。この時期からクリスマスのイルミネーションがすっぽりと
街を覆い、クリスマスソング(ビジャンシーコ)がどこからともなく聞こえてきて、
とても活気づきます。スペイン最大のフィエスタ、クリスマスNavidad(ナビダ)の始まりです!
12月5日に、市役所前の広場でクリスマス開始の記念式典がありまして、グランダの街に設置された
イルミネーションが一斉に点灯しました。

ayuntamiento.png

そして今年は、なんとアルカンヘルが点灯のボタンを押したのでした!右に居るのは市長さんです。
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点灯の前にはビジャンシーコのカンパニジェーロスを歌ってくれました!
(これらの写真はローカルテレビで放映された録画より)

campanillero.png

En los pueblos~~
En los pueblos de mi Andalucía
los campanilleros por la madurugá~
......

この連休に合わせてグランダでは秋のフラメンコフェスティバルFestival de Otoñoが
毎年開催されます。

fes de oto;o.jpgのサムネイル画像

今年の目玉はなんといってもアルカンヘルです。
式典後にイサべル・ラ・カトリカ劇場でコンサートがあり、久しぶりにアルカンヘルの世界に
たっぷり浸ることができました。
私にとってアルカンヘルは特別に期待していたカンタオールです。
ギターで言ったらビセンテ・アミーゴのように、フラメンコ界に新しい息吹を
もたらしたアーティストの1人で、それはそれは衝撃的、魅力的でした。

グラナダのエストレージャ・モレンテやマリーナ・エレディアと同じ世代でウエルバ出身。
フラメンコ界で注目されだした、もう10年以上前でしょうか、グラナダによく歌いに来まして
特にペーニャのオジサン達にはとても受けていました。往年の歌い手の唄をあれこれ唄いながら
愛好家の人達とあーだのこーだのと論議を交わす場面に同席したりもしました。
また、フィエスタでエストレージャやマリーナと歌合戦をしている光景を見たりする機会も
ありました。ですから何といいますか、憧れですかね......。
恥ずかしながら、アルカンヘルと仕事できたら最高!などと夢見ていた頃があったのです!
そんな私でしたが、その後自分のことで精いっぱいな時代が続き、
アルカンヘルのコンサート活動の様子はあまり観ていないのがちょっと残念です。

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アルカンヘルはここ数年ミゲル・アンゲル・コルテスと組んでコンサート活動していますが、
そのミゲル・アンへルも、これまた私にとって思い出のアーティストです。
同じグラナダですし、彼のギターに惚れこみ、過去に2回ほど私の公演で日本に招聘しました。
彼には沢山勉強させていただきました。グラナダからセビージャに移り住み、
いろいろと苦労があったことと想像しますが、昨年のビエナルでヒラルディージョ賞に輝き、
このところ本領を発揮して活躍してくれているのは嬉しいことです。
しかもアルカンヘルとコンサート活動してくれるなんて!私は大満足です。

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アルカンヘルの独特の喉、節まわしでダイナミックなブレリアの歌いっぷりがたまらなく、
古いプレゴン、ソレアなどでプーロな雰囲気で始まり、最後はファンダンゴ・デ・ウエルバで
コンサートを締めくくる彼なりのスタイルで通したコンサートで楽しめました。
ただ時々難しいです!彼らがやっていること全部理解するのはちょっと大変、唄だけでなく
コンパスも複雑だったりします。でも、いいのです!やりたいようにやってくれていいのです。
こっちもまだ勉強したいです。やってくださ~い。

さてここで、グラナダ市主催のこのフェスティバルに毎年出演するアーティストであるフォアン・
アンドレス・マジャの存在を忘れたくはありません。私は彼の作品で過去にセビージャのビエナルに
出演させてもらったり、私の公演で日本にも来てもらったりして、沢山勉強させていただきました。
いつでも自分の作品創りにはとても情熱的に取り組み、渾身の努力をはらっているフォアンですが、
今回は彼自身のプライベートな部分をさらけ出す内容で、それはいいのですが、一般受けはしても、
フラメンコファンには物足りない仕上がりになっていて、ちょっと複雑な心境の私であります。
でも考えてみれば、自分の土地グラナダで伸び伸びと自分の世界を、フラメンコを追及する、
踊り続ける、それができるのだから幸せだと思います。

juanandres.png

ところで、連休中にはなんと、ビセンテ・アミーゴやトマス・デ・ぺラーテのコンサートや
ライブもありました!ただ困ったことに、日程、時間がダブってまして、
全部見られなかったのはとても残念でした。これ、どうにかして欲しいですね、全く!


ビックなニエト、ある日のスタジオ・カチューチャ、そして夏のフラメンコなど


juan nieto.pngこの春のビックニュースはやはり5月末にグラナダ期待の若きギタリスト、フォアン・アビチュエラ・ニエト(名ギタリストであるフォアン・アビチュエラの孫nietoという意味の名前)の初CDが発売されたことです。グラナダの名門家系から出た新星、歳はまだ23か24です!CDはもう随分前から準備していましたが、一度できかけたのに止めてしまったりしているということで、いったいいつになったらでるのかな~と思っていました。とにかく発売には慎重だったようですが、Universalユニバーサルというなんだか凄いレコード会社が付いて堂々としたCDデビューとなりました。今、彼はCDのプロモーションなどであちこち駆け回っています。

ですので今回はなかなか会えない、会えてもホンの一時で、ろくに話もできない状態なのでした。でも日本にもプレゼンテーションに行きたいと積極的です。とにかくこのCD売れているそうで、本人とっても嬉しそう!このCDジャケットもステキじゃないですか!初CDはモダンでちょっと商業ベースに乗った感もありますが、それが逆に私にはデビュー作としての新鮮な香りに満ちていていいんじゃないのかなと思えます。これから出していく第2作、第3作がどんなものになるのか?もうその準備できているみたいですけど......凄い!何といってもステキな音楽と音色の中に、しっかりとギターの弦をかき鳴らす指の肉感が伝わってきます。聴く人への感謝とメッセージを託しています。サクロモンテに生まれ育ち、自然を愛し、ギターと戯れるように練習に打ち込んできました。小さい時から将来が期待されていたフォアン、その奥深い世界を垣間見るCDだと思います。日本発売も間近でしょう。是非買ってくださいね!


moneta1.pngところで帰国前のある日、我がスタジオにステキな訪問客がやってきました。日本でもお馴染みのフエンサンタ・ラ・モネタです。常に新しいプロジェクトをもって活動中のモネタ。最近、マドリッドのスマ・フラメンカというフェスティバルで「パソ・ア・パソpaso a paso」という作品をご披露したばかり。また「街のフラメンコFlamenco Urbano」とう今風の試みもグラナダでやったりしている。
「フラメンコ人は早起きなのよ!」と、毎朝9時からプロジェクトのための練習をやっているというが、その日は、そんな忙しい合間を縫っての個人レッスンのためスタジオを借りてくれました。
実は彼女が生まれたのは30年前に私がグラナダに移住した年なんです! 彼女にしても、エバ(ジェルバブエナ)にしても、小さい時からその優れた素質が窺われ、あっという間に一流のアーティストになってしまいました。モネタはまだ踊りを習い始めたばかりの頃、ペーニャで踊る私を見たことがあって、それは18年ぐらい前の話......あの頃から知っていますが、普段はとても気さくで庶民的、いつも気軽におしゃべりできます。
この10年ぐらいモネタはメキメキと成長してきてその活躍は素晴らしいです。エバもそうでしたが、グラナダに籠ってないんですよね。外に出て勉強し、活動してきたのです。今や彼女たちの活躍は国際的なのです。わたしはグラナダのフラメンコ界を30年見てきましたが、私には、彼女たちの苦労がわかるような気がします。私とモネタでは状況が違いますが、共通に考えさせられることも多いのです。また、モネタがえらいのは他のアーティストの舞台もよく見ていることです。誰かの舞台を観に行くと会場でよく彼女に会ったものです。人の舞台を観るのは大切、勉強になりますよね。

moneta2.pngお茶しながら久し振りに楽しくあれこれおしゃべりしましたが、私の半分しか生きていないのに私より大人のよう!いろいろ乗り越えてやってきているので、意見がハッキリしている。アーティストとしての自分の方向性もしっかりつかんでいる。人間的にも逞しいのです。踊りに出る凄味は彼女の迷いなく突っ走る生き方から来ているような、とまぁ、私は彼女に感心しっぱなしでした。
人生悩みは尽きませんが、いろいろ問題があってちょっと凹んでしまっても、凹みっぱなしではいられない。いつも前向きに、何か方法を見付けて続けていくしかないのだ!そんなことを思いました。ちょっとモネタにパワーをもらった感じの有意義な一時でした。


さて、私は予定より2週間以上も遅れて日本帰国となりましたが、6月14日にコルプスと呼ばれるグラナダのお祭り(フェリア)が始まりました。いつも移動の前後は頭が混乱するので、フェリアを楽しんでいる時間は全くありませんで、帰国直前にフェリア会場へ行って、ポルターダ(正面入口の門)だけ撮りました(下の写真)。
corpus.pngグラナダのフェリアはセビージャに比べるとだいぶスケール小さいですが、楽しみ方は同じです。カセタはプライベートが多いですが、誰でも入れるカセタもあって、セビジャーナスなど踊り放題です。お祭りの最中はフェリア会場のカセタ(皆が集まる仮設の小屋)だけでなく中心街でも催し物が沢山あります。闘牛もありますよ。


コルプスが終わると国際音楽祭Festival Internacional Musica y Danzaが始まります。7月~9月は近郊の村々で夏のフラメンコフェスティバルもあります。7月下旬から8月中旬にはロス・ベラーノス・デ・コラール、アルハンブラ宮殿のヘネラリッフェ劇場ではラファエラ・カラスコの率いる「エン・ラ・メモリア・デル・カンテ、コンクルソ・デ・カンテホンド1922」の公演が7月末~8月いっぱい1ヶ月に渡ってあります。カルメン・デ・ラス・クエバスのカルメン祭りFiesta del Carmenもあります。これらの定例のフェスティバルの他にもあれこれいっぱい催し物がありますので、夏場にこちらにいらっしゃる方はいろいろ楽しめます。詳しくはこちらで!

今回の「カチューチャ便り」は終わりの巻~


世界舞踊祭とカルメン・デ・ラス・クエバス


4月29日は国際(世界)舞踊の日Dia Internacional de Danzaでした。世界各国でジャンルを問わず舞踊祭がおこなわれているようですが、グラナダではこれに因んでグラナダ・エン・ダンサという団体ができ、昨年から活動を始めています。グラナダ市の協力を得て、いろいろな舞踊団、舞踊グループが参加する公演が2月~5月に渡ってイサべル・ラ・カトリカ劇場でありました。今のところコンテンポラリーダンス、スペイン舞踊などが中心で、今回参加したのは、コンセルバトリオ・デ・ダンサ(王立舞踊学校)やコンテンポラリーのDA.TE DANZA(ダ・テ・ダンサ)や、舞踊クラスを持つ語学学校のカルメン・デ・ラス・クエバスCarmen de las Cuevasのカンパニー、オスカル・ケェロOscar Queroのカンパニー、ルシア・グアルニードなどです。

dia de danza世界舞踊の日は平日でしたので4月27日の日曜日に、グラナダの博物館や美術館などのスペースで各カンパニーやグルーブがデモンストレーションをするという短時間の催し物がありました。私はアルハンブラ宮殿のカルロスⅤ宮殿にある美術館に行きたかったのですが寝坊をしてしまい、近くの中心街にあるホセ・ゲェレーロ美術館に行きましたら、シンセサイザーの音楽で女性が踊っていました。途中から見たのですぐ終わってしまい、残念でした!コンテンポラリーだそうですが、全然訳が分からず、ただ動き回っているだけのように見えました。でも、こういうプロモーションがあるのはスペインらしいです。一般の人が無料で文化・芸術に触れることができ、休日の昼間を有意義に過ごすことができますね。

GALA2014GRANADA EN DANZAさて、グラナダ・エン・ダンサのこの催し物、先日25日にはこの催し物の最後を飾る宴「ガラ・フィナル」がありました。「ガラ・フィナル」では参加した5つのカンパニーが勢ぞろいし、それぞれがそれぞれのテーマで20分ぐらいの作品を演じました。それなりに見応えあって楽しめました。フラメンコと関係ないコンテンポラリーダンスは見慣れませんが、ダ・テ・ダンサの作品は観る人を飽きさせないアイデアがいっぱいあってビックリしました。イマジネーションの世界というか、現実から離れて一時的に不思議な世界に引き込まれます。なんだかよくわからない、そういう言い方もできますが、その動きは踊りが基本でとてもきれいでした。こういうのは、訳の分からないフラメンコを観るよりは安心して見られますね、私には。オスカル・ケェロはスペイン舞踊のクラシックなテクニックがしっかりしていてとてもうまかったのですが、唄なしのショーでちょっと寂しかったです。ルシア・グアルニードはグラナダの期待のバイラオーラです。エバ・ジエルバブエナのカンパニーに一時いましたが、このところソロ公演などで活躍していまして、昨年秋にグラナダにアカデミーをつくり後進の指導にも力を入れています。とにかく動きが美しく、フラメンカです。

この催し物で目立ったのは、初めてカンパニーを組んで参加した「カルメン・デ・ラス・クエバス」です。「カルメン・デ・ラス・クエバス」は今年、創立30年を迎えました。当初は歴史、文化や語学を学ぶ小さな学校でしたが、一階が洞窟になっていて、そこでフラメンコのクルシージョなども始めるようになりました。私も昔はクルシージョを受けたりしていました。数々のグラナダのアーティストにここで学べました。一時はマリオ・マジャもよく出入りしていましたよ。現在は4,5人の教師(ハビエル・マルトス、ライムンド・ベニーテス他)が専属で教えて、踊りの他フラメンコの理論講座、唄、ギターのレッスンもやっています。また夏には定期的に別の場所を借りてセビージャやマドリッドの人気アーティストを呼んでクルシージョを大掛かりにやったり、「カルメン祭りFiesta de Carmen」を企画し、サクロモンテで催しています。そのカルメン・デ・ラス・クエバスが、なんと専属教師陣主体のカンパニーを大胆にも作ったということなのです! 「カルメン・デ・ラス・クエバス」のオーナーは、30年ということもあるし、グラナダ・エン・ダンサも軌道に乗ってきているのでこの辺で奮起してカンパニーを作り、もっと活動の場を広げたいのだそうです。フラメンコが好きだし、常に前向きの姿勢なのです。現在の活動を見ていると、グラナダのフラメンコの発展に貢献しているなと思います。わたしもグラナダ30年だけどえらい違い!であります。コツコツ頑張って来て今ではいろいろなことに挑戦する余裕もでて来たということですね。拍手です。カンパニーが成功しますように!

nacho y carmen

写真はオーナーのナチョNacho Martinとマリ・カルメンMari Carmen夫妻。


フラメンコのモニュメント、十字架祭、体験レッスンなど


4月、5月のアンダルシアはフェリア(春祭り)が各地であります。セマナ・サンタ(聖週間)が終わって2週間後に、セビージャではフェリア・デ・アブリルが始まります。毎年同じ日程ではないのですが4月中旬から5月初旬になります。アブリルは4月のことですが、今年は5月になってから始まり、天気も良く、とっても暑い、熱~いフェリアだったみたいです。5月の初めはコルドバのパティオ祭があります。パティオ(中庭)の壁一面の植木の花がとっても綺麗で見応えあります。そしてへレスではフェリア・デル・カバージョが始まります。カバージョは馬のことです。フェリアでは街に馬車が現れ、乗馬を楽しむ人も見られますが、へレスは馬の産地で馬術学校などもあるそうです。豪華な馬術ショーもこの時期にはみられるのでしょう。フェリア会場ではセビジャーナスばかりでなく、やはりブレリアも、でしょうか。スペインに来るならこの時期はお勧めです。

cruces de mayoさて、3日に十字架祭(Cruces de mayo)というのがあります。グラナダの十字架祭は盛大なのですよ!季節柄、花が咲き誇るなか、街には馬車が現れ、女性はトラッヘ・ヒターナ(フェリア用フラメンコ衣装)を着込んで街がとっても華やかになります。そしてみんながセビジャーナスを踊ります!仮設舞台でも郷土舞踊やフラメンコをやっています。そして、毎年「十字架の飾りつけコンクール」があり、私はこれを見て歩くのが好きで、この日はあちこちと20,000歩ぐらい歩いてしまいました。

またグラナダには珍しく、十字架祭のプレゴン(開会式のようなもの)や飾り付けコンクールの表彰式の後になんとセビジャーナスのショーがあるというので、半信半疑見に行きましたら、本当にセビジャーナスばかりやっていました。そしてカントーレス・デ・イスパリ(下の写真)という人気グループが最後に出演したのです。
cantores de hispaliテレビではお馴染みのセビジャーナスグループですが実演を見るのは初めて!わざわざセビジャーナスのショ―を見に行くことなんてありませんが、この日はお祭りついで。
雰囲気が盛り上がり、私も楽しめました!
ちょっと、真昼間で人が少なめだったけど、グラナダの女性セビジャーナスグループなんかも登場し、
Yo quiero un nobio
Que sea apañao~~
タララン、タラララララン、タララ 
彼氏が欲しいけど、しっかりした人じゃないと~などと、可愛いセビジャーナスを歌っていました!

フラメンコのモニュ メントところで、セビジャーナスの会場の近くにフラメンコのモニュメントが昨年秋にできましたので、写真を撮って来ました。
凄くでっかいです!
高さが5メートルぐらいはありますね。
このモニュメントは1922年にマヌエル・デ・ファジャ、フェデリコ・ガルシア・ロルカ他の音楽家、画家や知識人が動いて実現したカンテ・ホンドのコンクールを記念したもののようです。
1922年6月にあったカンテ・ホンドのコンクールは、アルハンブラ宮殿のアルヒべの庭で行われ、コルドバ県プエンテ・へニルから歩いてやって来たというモロン出身のテナサTenazasと当時まだ少年だったマノロ・カラコールが優勝しました。審査員がアントニオ・チャコン、マヌエル・トーレ、二―ニャ・デ・ロス・ぺイネスとそうそうたるメンバーで、他にフェスティバルもあり、懐かしいアーティストが沢山出演したようです。フラメンコ史上に残るイベントだったと言われています。今年の夏のヘネラリッフェ野外劇場ではこのコンクールを題材にしたラファエラ・カラスコの作品が1ヶ月に渡って上演されます。      

このモニュメントですが、何故かフラメンコ関係者にはあまり評判よくないです。ケチを付けたがるのは人間の本性?上部のブロンズ像は歌い手とギタリスト、そしてバイラオーラのようですが、特定のアーティストではなく、イメージみたいで、うまくできてないだの、おかしいなどとブツブツ......気に入らない理由の一つみたいです。フラメンコが世界無形遺産になり、さかんになって来ているとはいえ、下々では経済危機で不満もあるのでしょう。確かにカンテ・ホンドのコンクールは素晴らしかったのだから、どうせ作るなら、もう少しセンスがいいデザインにして欲しかったな、考えようによっては、ただ「見栄を張ったグラナダ市」と思わせるような巨大なモニュメントで終わってしまった感もあってちょっと残念ではありますが、どうでしょう?

★十字架祭、銅像のことは、ホームページ「おもいで写真館」で紹介していますので是非ご覧ください。
http://www.ecoflamenco.com/foto1006.html

フラメンコ入門講座の風景さて、こんな時期に我がスタジオに訪問客がやってきました!ゴールデン・ウィークの休暇中の若者3人で、急に思い立ってフラメンコ体験レッスンがしたくなったと言います。慌てて久しぶりの入門講座を準備。
みんなも衣装をどこからか借りて来てやる気満々、記念写真のポーズから始まって、リズムや簡単なルンバとブレリアの振りを短時間で覚えてもらいました。
なかなか筋がいいのでびっくり。若いっていいなぁ~



春のフラメンコ、ディエゴ・カラスコ他


グラナダの街に、ここ数年タブラオが増えました。観光客が押し寄せるグラナダ。アルハンブラ宮殿には当日急に思い立って行ったって、チケットは売り切れで入場できない状況です。観光客目当てのタブラオが増えたのです。土地の人には高い価格です。でも中には、入場料が比較的安いけどタブラオとは言い難いお店などでもフラメンコをやっていたりします。タブラオの出演者は様々ですが中には中堅のいいアーティストもいたりします。

flamencovienedelsur.pngタブラオではなく劇場で観るフラメンコといえば、毎年、2月~5月の月曜日に平均月2~3回ぐらいのペースでフラメンコ・ビエネ・デル・スルFlamenco viene del surというコンサートがテアトロ・アランブラTeatro Alhambraであります。これはアンダルシア全体でやっているようです。グラナダでは合計10コンサートぐらいはあって、全部観られるボノBonoを買えば安く済むのが有り難いですし、グラナダ以外の人気アーティストが中心に多く出演するのでフラメンコファンには嬉しい内容なのです。ですが、今年のプログラムは例年に比べてちょっと寂しいように思いました。大物のアーティストの出し物が少ないのです。予算がないのでしょうか?
それでも、いままで、マイテ・マルティンやパコ・セペーロ、ベレン・マジャなどが出演しました。私がグラナダ到着したのは3月30日。楽しみにしていたその夜のレメディオス・アマージャとカルメリージャ・モントージャのコンサートがレメディオの体調不良とかで中止になってしまい、とても残念でした!めったに公演中止なんてないのですけど......。

その次の週、4月7日にホべネス・フラメンコスのアンダルシア・コンクールの優勝者のガラ(コンサート)がありました。各部門(カンテ、ギター、バイレ)の優勝者が2曲ずつ1部、2部と2回に分けて演技を披露しましたが、段取りが悪い上にすぐ終わってしまってちょっと物足りなかったです。ただ、グラナダのギタリスト、アルバロ・ペレスのギターはなかなか良かったのであります。しっかり、がんと聞こえてくる音でした。古きアイレと独自のファンタジックな世界を同時に堪能できました。

jeromo.png28日には昨年のカンテ・デ・ラス・ミーナス(Unión)の優勝者、へロモ・セグーラの唄とエドワルド・ゲェレーロの踊りのコンサートがありました。これは良かったです。サルバドール・グティエレスのギターが加わり、3人で一つの流れを作り出し、飽きさせない構成でした。やはりこのコンクールの優勝者は上記のコンクールのようにただのホべネス(新進の若者)ではない。カディス出身のエドワルドの踊りはきちんとした舞踊テクニックで、男性には少ない上体をフルに使った動きが特徴です。時々誇大な表現が見え、人によっては気に障るかもしれませんが、全体としてまとまっていて悪くなかったのであります。それと、踊り判奏もうまいサルバドールが巧みな音楽構成でうまく彼らの演技を導いて流石でした。へロモはソレア・デ・トリアーナやカンテ・デ・レバンテを沢山唄ってそれがなかなか良かったです。しっとり聞かせてくれる唄でした。3人だけの舞台なので、踊りが入った時に一人でパルマはきつそうに見えましたが、ガチャガチャしていなくてじっくり観ることができました。

グアダルーペ・トーレスさて5月に入り、最後の出し物、グアダルーペ・トーレスという踊り手の「アクエルダテ・クアンド・エントンセスAcuérdate cuando entonces」がありました。グアダルーペは過去の大アーティストが残してくれた貴重な財産、そのアルテを振り返って、そのアルマ(魂)を身体に秘めて踊りたかったのでしょうか。背景に大きなスクリーンが時々出て来て、往年の名アーティストの写真や映像が映し出され、彼らの肉声の録音なども最初に流れました。そんな雰囲気作りが先ずあって、2人の歌い手ペペ・デ・プーラとモイ・デ・モロンによる唄がとてもプーロで雰囲気がさらに盛り上がりました。
グアダルーペの踊りは特にチスパ(火花)がある訳ではなく、わりとおとなしめなモダンな踊りでしたが、ステキなパソが沢山見られました。振付がとても良かったです。久しぶりに女性のステキな踊りを堪能しました。カホンを叩く人が一人いて、かなり踊り手を助けていました。また、ギターのアントニオ・サンチェスもなかなかいい感じの音楽センスと巧みなトーケで、全体が締まりました。彼はパコ・デ・ルシアの甥にあたると聞きました。なかなかカッコいい青年、記念写真撮っちゃいました!


パトリモニオ・フラメンコ劇場で観るフラメンコは、もう一つあります。パトリモニオ・フラメンコ Patrimonio Flamenco です。毎週土曜日にグラナダ市営劇場「チュンベーラ」で、春と秋に何ヶ月かに渡ってあります。春は2月頃~6月まで、秋は10月頃~12月までです。このコンサートは主にグラナダのアーティストが出演します。
ですから私もいままで3回公演をしたことがありまして、土地のアーティストにとっては嬉しい催し物です。観る側も入場料は安いし、場所がサクロモンテなので、ちょっと歩きますが景色がいいです。帰りはアルハンブラ宮殿や、サクロモンテ、市内中心街の夜景を見ることができます。

さて最後に、4月11日にグラナダの一番大きいディスコテカでディエゴ・カラスコのコンサートがありました。グラナダのフラメンコ人、特にヒターノ達はへレス好きで、個人的に仲良いアーティストを呼んでディスコやタブラオなどで小コンサートしたりします。今回もそういう個人的繋がりがもとで実現したようです。正面のいい席はヒターノファミリー等向けのタパス付の予約席!私たち一行は座るところありませんでしたが、比較的早く行ったので、正面横の見やすい場所を確保できてよかったです。

ディエゴ・カラスコこういうコンサートはその筋では前売り券を売り出したりしますが、宣伝が一般の人にまでは行き渡らないことが多く、いったいどこでチケットを売っているのかと人に聞かれたりします。昔からスペインは直前にポスターが貼られたりして告知されるケースが多いです。今はネットで情報が伝わってきますが、うっかりすると見逃してしまったりもします。     


ディエゴ・カラスコ コンサートさて、内容は新しいCDヒッピータノHIPPYTANO のプレゼンテーションでした。ちょっと遅いかな?でも何でもいいんですね、ディエゴなら。わたしも久しぶりだったんでパルマ叩きながら楽しく観戦です。中には踊り出してしまう人も。後半、興奮しきっていたヒターナのカンタオーラがディエゴの誘いに応え、一節歌いだしまして雰囲気満点!賑やかなうちに終了しました。



セレモニア・デル・リオ Ceremonia del Rio


4月8日はロマ人の国際記念日で、1971年ロンドンでの世界ロマ会議で制定されたということです。ロマ人は遥かインドから長い年月をかけてやって来た放浪の民ですが、ヨーロッパ各地に定住したロマ人は1000万人以上いるそうです。スペインには15世紀中頃に、グラナダにはレコンキスタの頃に兵士に混じってやって来たとも言われています。スペインのロマ人はヒターノと呼ばれていて、素晴らしいフラメンコアーティストが沢山いますね。4月8日といえばお釈迦様の誕生日と言われ、日本では「花祭り」がありますが、これは何か関係あるのかちょっとわかりません。
グラナダにはアンダルシア自治州の組織の中にある「アンダルシアのヒターノ社会文化センター」があり、ヒターノに関連した文化事業を企画していまして、毎年この国際記念日を記念したイベントがあります。午前中に講義や座談会、午後に野外セレモニーがありました。

Por la mañana午前
ヒターノ文化センター写真展午前中はヒターノ文化センターで写真展覧会とそのセミナーがありました。写真展は少年期に犯した罪で刑に服していたある若きロマ青年が、出所してからルーマニアのある村で数々の問題を抱えながらも自立して生きている様子を写真に撮ったものです。

カフェテリアでの懇談風景セミナーが始まる前のカフェテリア。参加者達が朝のコーヒーなどをとりながら和やかに懇談しています。

ヒターナたち近郊の村々からバスツアーでやってきたヒターナ達。

セミナー開始いよいよセミナーが始まり、主催者側や、ハンガリー政府から派遣されてきた方々の挨拶が始まりました。

ヒターノの旗ヒターノの旗です。青は空、緑は大地、土地を意味するそうです。真ん中の赤い丸いものはグレープフルーツの輪切りみたいですね(笑い)。これは車輪なんです。ヒターノたちは馬車に荷物をまとめて放浪していました。

さて、ハンガリーの大学から派遣されたロマ人研究者や民俗学的、人類学の知識人などの講演が始まりました。東ヨーロッパの各国に定住したロマ人のインテグレーション(統合)の経過、実態、問題などの説明がありました。


講演風景歴史上ロマ人への差別と迫害は多々ありました。今でもよそ者のロマ人が、定住した国の住民とうまく馴染めず、なかなか解決しない社会問題になっている国もあるようです。スペインは東ヨーロッパに比べるとまだ問題が少なく、統合も進んでいるといいます。でも、彼らのキャラクター、行状が土地の人に反感を抱かせてきました。グラナダでもヒターノはもとから住む土地の人達と同等に教育を受け、仕事もできますが、土地の人々の根強い反感の眼差しの中にいることは否めないのがその実状かもしれません。

ハンガリー娘真面目な講義や、短編映画の後にガラッと雰囲気が変わり、ハンガリーのロマ娘がマントンを持って登場!ジプシー音楽に合わせてやわらかなステップでした。

roma7pp.jpgセミナーが終わってから、グラナダにあるヒターナの組合「ムヘーレス・ヒターナ・ロミ」の人達と。後ろにいるハンガリー娘は身長180㎝ぐらいでしょうか、かなり大柄でした!

Por la tarde 午後

セレモニア・デル・リオのリーフレット午後は野外イベントCeremonia del Rioセレモニア・デル・リオです!「川ぶちのセレモニー」とでも言いましょうか、なぜ川でやるのかと思ったら、昔のヒターノ達は水のある川べりによく滞在したからだそうです。

ローマ橋グラナダには2つの川があります。街の北側のダーロ川と東のへニル川。でも実は、ダーロ川が中心街の地下を流れへニル川に繋がっているのです。会場はへニル川のプエンテ・ロマノ(ローマ橋)の横にある埠頭です。ここはグラナダ中心街のはずれにあり、川沿いに公園や遊歩道があって景色も好い場所です。

セレモニー挨拶午後7時過ぎにセレモニーが始まりました。会場には時間的に早いためか、若いヒターノが多かったです。舞台が設置され、知識人の司会者がロマ人の国際記念日の簡単な説明を開始、次に「パコ・デ・ルシアに捧げる」ということでマリキージャとマノレテが挨拶をしました。マリキージャもマノレテも今はアカデミアで後進の指導をしている大先生なのです。

へレム、へレムGelem Gelemを歌う若いグループさて、若いヒターノのグループが登場し、ヒターノのインノhimno称え唄「へレム、へレムGelem Gelem」を
歌いました。Andube,anduve por largos caminos..........¡Ay roma,ay muchacho!

ルンバで踊る人々称え歌が終わって、フィエスタ風になりました。ルンバでみんなが踊り出しました。こうなるとみんなノリノリです!

花篭を持ったヒターナのおばさんフィエスタが終わって一応舞台の出し物は終わりました。すると、雰囲気あるヒターナのおばさんがニコニコ顔で花びらをいっぱい詰めた籠をもってやってきました。

蝋燭が配られる一方ではべラ(ろうそく)を配り始めました!

川岸に並ぶ人たち花びらとべラをもらってみんなが川岸に並び始めました。こうやって花びらとべラを川に流すのが恒例なのです。

子供を助けるお兄さん子どもいっぱい来ていまして、間違って落っこちたら大変!お兄さんが助けていました。

川に浮かぶ紫のべラわたしも花びら巻き、ろうそくを灯し川に流しました!真ん中の紫のべラです。かわいいでしょ!
でも風があってすぐ消えちゃったんですよ、残念!

こうして川と縁のあるヒターノのイベントが和やかに終わりました!